2030年代以降に見込まれる、使用済み太陽光パネルの急速な増加に備え、地域内で使用済みパネルを効率的に回収し、再資源化する仕組みを構築する動きが出てきた。いち早く福岡県において、県と公益財団法人・福岡県リサイクル総合研究事業化センター(北九州市若松区)が「廃棄太陽光パネルスマート回収システム」を構築した。
固定価格買取制度(FIT)によって太陽光パネルの設置量が急増している中、パネルの寿命がメーカー保証で20~30年となっていることから、廃棄のピークとみられる2036年には、福岡県内で年間1万3000t以上のパネルの廃棄が予想されている。これは全国で5番目に多い。
県は、こうした予測に備え、経験を積んでおこうと考えた。県内企業が、すでに太陽光パネルの高度な素材分離技術を持ち、関連サービスを提供していることも大きかった。
廃棄・マテリアルリサイクル(材料の再利用)の仕組みでは、排出する事業者、収集運搬する事業者、解体・分別、リサイクル事業者の個々の役割に加えて、全体がスムーズに機能する仕組みが重要になる(図1)。
太陽光パネルの場合、銀やアルミなど、埋め立て処理に回されないことが望ましい資源も使われており、そのような製品の特性にも配慮しつつ、体制を整備したとしている。
現時点では、使用済みパネルを効率的に回収した後、リサイクルテック(北九州市八幡西区)、柴田産業(福岡県久留米市)が、それぞれ北九州市と大牟田市の拠点を通じて使用済み太陽光パネルを引き取って解体し、素材ごとに分別し、マテリアルリサイクルや再資源化ルートに回す仕組みとなっている。
この仕組みがあれば、災害時の緊急的な太陽光パネルの破損にともなう処理にも応用できる。