特集

「再エネを増やし安定供給まで、調整機能にも投資」、Zエナジー安岡社長、三菱UFJ銀行・西山部長に聞く(page 2)

メガソーラービジネス・インタビュー

2021/11/29 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
印刷用ページ

蓄電池や水素製造にも投資

――Zエナジーの株主として銀行が名を連ねています。これまでのメガソーラープロジェクトでは、金融機関はプロジェクトファイナンスによる融資の提供という形で参加し、エクイティ(資本)投下による大きなリスクを避けるのが普通でした。

三菱UFJ銀行・サステナブルビジネス部長の西山大輔氏
三菱UFJ銀行・サステナブルビジネス部長の西山大輔氏
(撮影:清水盟貴)

西山 それが今回のファンドの大きな特徴になっています。これまで銀行は、ある程度開発の進んだ再エネプロジェクトを査定する、という立場でした。しかし、今回のファンドでは、銀行は、再エネプロジェクトを初期段階から一緒につくっていく立場になります。

 もちろん今後もプロジェクトファイナンスによる融資は、銀行の事業拡大にとって主業務であり続けます。ただ、「社会課題の解決に貢献しつつ成長する」という三菱UFJ銀行の掲げる経営方針をカーボンニュートラル分野で実践しようとすると、従来のようなファイナンス供与の機能だけでは、十分ではないのです。

 というは、社会がカーボンニュートラルを実現するため、その1丁目1番地である再エネのさらなる拡充には、ある程度リスクのあるプロジェクト開発も求められるからです。今後、再エネを大量に新規開発し、それを需要家に安定的に供給するには、出力の変動する太陽光や風力の電気をオフサイトCPPAやFIPのように、需給バランスを調整しつつ市場ベースの価格で取引するという仕組みを乗り越えていく必要があります。

 こうした視点に立つと、再エネの新規開発に加え、蓄電池や水素など、エネルギーストレージの導入やVPP(仮想発電所)技術などイノベーションも取り込んでいく必要があります。ファンドの最終段階であるステージ4にはこうした分野への投資も想定しています。

 金融機関としてファンドをつくり、エクイティを伴った資金が還流する受け皿を作ることで、こうした革新を促すプロジェクト初期段階に関わることができます。つまり、経営理念として掲げる「社会課題解決」の1つの糸口としてファンドを位置づけています。

 今回のファンドは、各パートナーが単にお金を出すのではなく、金融や電気小売り、データ管理などのノウハウを出し合い、まず再エネ電源を確保して、派生的なプロジェクトも含め社会インパクトのある形にファンドを育てていく方向性が、一般のファンドとは大きく異なるところです(図2)。

図2●Zエナジーの株主(パートナー)と再エネ普及・拡大に向けた課題
図2●Zエナジーの株主(パートナー)と再エネ普及・拡大に向けた課題
(出所:Zエナジー)
クリックすると拡大した画像が開きます

安岡 さらに言えば、ステージ1で大量に買い集めた数百MW規模のメガソーラーに関しても、FIT終了後、リファービッシュ(改修・改装)して高出力の最新パネルに張り替えることで、太陽光パネルの出力は容易に約2倍にできます。

 例えば、パネル出力20MWの太陽光発電所は、同じパネル枚数で40MWに増設できます。しかし、電力系統に空きがなく最大30MWしか系統に送れないとすれば、晴天時には残りの10MW分を蓄電池に貯めたり、水素製造プラントを併設してグリーン水素を作って販売したりするなど、様々な可能性が考えられます。

 こうした分野では、Zエナジーの株主でもある三菱重工業とも、緊密に連携できるのではないかと期待しています。

 もちろん、投資家には、リターンという目線で出資してもらうので、収益性を維持することは重要です。着実なリターンという使命を睨みつつ、次の世代の電源システムを作っていくという社会課題解決の方向性とも両立していくことを目指します。

  • 記事ランキング