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「再エネを増やし安定供給まで、調整機能にも投資」、Zエナジー安岡社長、三菱UFJ銀行・西山部長に聞く(page 5)

メガソーラービジネス・インタビュー

2021/11/29 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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ESGの「S」と「G」も

――安岡社長は、前職で外資系再エネ・デベロッパーのトップを務めて太陽光を400MW開発し、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)にも取り組んできました。カーボンニュートラルファンドでも営農型太陽光の開発を検討していますか。

安岡 ファンドではまず1GWを目指して、再エネの規模を追うことも重要になるので、開発に手間のかかる営農型太陽光をメインに据えることは現実的ではありません。ただ、営農型には、発電に加え、「農業」という視点が入っていることは大きな意義があり、新規開発を目指しています。

 というのは、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が注目されるなか、「再エネ事業は、当然に環境面はクリアできるが、S(社会)やG(ガバナンス)という視点で貢献できないのか」と問われることもあります。その点、営農型には、農業を通じた地域活性化というプラスアルファがあります。作業者にハンディキャップのある人たちを活用できれば、社会福祉やダイバーシティ(多様性)にも貢献できます。

西山 銀行が主体的にかかわるファンドとしては、まさにそうした点も目指しています。従来の再エネファンドが、再エネを作って、リターンを得るという機能だったのに対し、今回のファンドでは、再エネを増やして安定供給するという役割に加え、それが社会にどうインパクトを与えるのか、新たな評価軸を模索して、それに共鳴してくれる投資家に届ける仕組みも、ステージ2、3、4と上がっていく段階でチャレンジしていきたいと考えています。

 例えば、営農型太陽光でグリーン電気を作って使う中で、それが地方創生に与える影響とか、ダイバーシティに与える影響とか、再エネ事業によって生まれる社会インパクトの価値を明確化して評価軸を立て投資家を募る仕組みも入れることができれば、さらにファンド事業が社会の課題解決に寄与する仕組みになります。

――西山部長は、総合商社で20年間、発電・送配電・小売りという電力業界の多方面で事業経験を積み、グループ企業トップとしてエネルギー業界の変革を牽引してきました。

西山 いまの日本は、エネルギー・トランスフォーメーションの大きなうねりのなかにあります。総合商社は、再エネ開発や電気小売りなど個別事業を日本に根付かせる過程で大きな役割を担ったと思いますが、いまのような大きな社会変革を伴うステージでは、世の中の様々なステークホルダーと接点のある金融機関の役割が重要に感じます。

 商社は、未知の領域での巨大プロジェクト開発などに力を発揮しますが、いまの再エネのように先行事例によって実効的なツールと分かった後は、社会活動としてどんどん進めていく必要があります。多方面のパートナーと連携し、投資家の受け皿を作ることや、地域と密着する再エネを作っていく事業者を育成していく必要があることなどを考えると、商社よりも銀行やファンドを中心にしたサポートの方がより効果が大きいと感じます。

三菱UFJ銀行・サステナブルビジネス部長の西山大輔氏(向かって左)、Zエナジー社長の安岡克己氏(向かって右)
三菱UFJ銀行・サステナブルビジネス部長の西山大輔氏(向かって左)、Zエナジー社長の安岡克己氏(向かって右)
(撮影:清水盟貴)
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