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洋上風力で脚光、「誰でも扱える水中ドローンを目指す」、筑波大発ベンチャー・FullDepth 伊藤社長に聞く

メガソーラービジネス・インタビュー

2022/01/27 12:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 空撮などで一般的になってきたドローン(無人小型飛行体)の水中版、無人潜水機(水中ドローン)が洋上風力発電所などの再生可能エネルギー発電設備の点検への応用で関心を集めている。水中ドローンの機体からデータ処理、応用開発まで手掛けている筑波大学発のベンチャー企業FullDepth(茨城県つくば市)の伊藤昌平・代表取締役社長に、水中のインフラ点検の課題や水中ドローンの応用の可能性などを聞いた。

――水中ドローンを開発した経緯などを教えてください。

FullDepthの伊藤昌平・代表取締役社長
FullDepthの伊藤昌平・代表取締役社長
(出所:FullDepth)

 水中ドローンの開発で念頭に置いているイメージは、日常的に当たり前のように使うことができ、水中への手軽なアクセス手段とすることです。

 産業用の小型水中ドローンの開発や販売、レンタル、水中ドローンで撮影したデータのクラウドコンピューティング上での管理サービス、運用支援まで一貫で手掛けています。

 水中ドローンに関連したサービスの多くは、機体への対応で手いっぱいになり、撮影したデータの情報処理まで行き届かないことがほとんどです。撮影後のデータ処理まで一貫して手掛けていることが強みと言えます。

 ドローンは画像を撮影する、いわばセンサー端末のような役割です。本当に重要なのは、その先の情報処理です。ここまで連携して担えることが重要だと考えています。

 そもそも水中ドローンに取り組み始めた原点は、子供時代にあります。ロボットにたいへん興味があり、深海魚も大好きでした。自分で開発したロボットで、深海魚を撮りたいと思うようになりました。

 趣味でロボットを開発するようになり、それが高じてロボット関連のアルバイトをするようになりました。しかし、ロボット開発は資金が多くかかるものです。いくら稼いでも足りません。

 就職した企業は、兼業を認めてくれました。この環境を生かしてロボット開発を続けていると、受託開発の依頼を受け、2014年に起業しました。

 ロボットの開発を受託しても、資金面の苦労が続きました。そこではじめて事業計画書の重要性を実感したり、筑波大学の関連講座で感銘を受けたり、FullDepthの共同代表となる人との出会いもありました。

 こうした中で、わたしの活動を面白がってくれて、まとまった額を出資してくれる会社が現れました。三井住友海上キャピタルです。面白いことをやっているんだから、なにか形にしてみろ、とチャンスを与えられ、初めて本格的な水中ドローンを作りました。

 水中は、未知の世界だらけです。空を飛ぶドローンならば、上空から空撮する時に、使うカメラの解像度とのバランス以外には、視認性に大きな問題が生じることはまずありません。ここが大きく違います。

 水中は、水深わずか数mという浅い場所でも、すぐ前が見えないこともあります。ダムなどは水の濁りがちな環境では、1m先すら見えないことも多いのです。しかも、電波が届きにくい環境です。これが未知の世界という理由です。

 深い場所になると、潜水士のような専門家でも、視認性の悪さが原因で事故に遭ってしまうことがあります。国内でも、2019年にダムに潜って作業中の潜水士が、放水口の開いているのに気づかずに死亡したという痛ましい事故があったばかりです。

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