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メガソーラー敷地内に生きる野鳥や昆虫、多様な動植物の棲みかに

パシフィコが宮城のサイトで環境調査、残置森林のほかパネル付近にも営巣

2022/02/17 17:00
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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運転中の特高サイトを調査

 国内でゴルフ場跡地を中心に、特別高圧送電線に連系するメガソーラー(大規模太陽光発電所)を開発・運営するパシフィコ・エナジー(東京都港区)は、稼働して数年を経過したサイトについて、動植物の生息状況などの環境調査を実施した。

 通常、環境調査は、大規模プロジェクトの計画段階で、法や条例に基づき、開発による影響を調べるために実施する。施設が稼働した後、事業者が自主的に調査する例は珍しい。

 「全国的にメガソーラーの建設が増えるに従い、地域環境への影響を懸念する声が高まっている。しかし、大規模な発電所では、林地開発許可の取得などに伴い、残置森林や調整池が併設され、動植物の生息環境に一定の配慮がなされている。こうしたサイトが、稼働後、実際にどの程度、周辺に棲む動植物の生息地域になっているか確認したかった」。パシフィコ・エナジーの松尾大樹社長は、稼働済みサイトの環境調査を実施した理由を、こう話す。

 パシフィコ・エナジーは2012年に創業以来、建設中も含めて15の特高案件で合計出力約1.3GWものメガソーラーを手掛ける。国内のメガソーラーデベロッパーで最大手とみられる。今回、環境調査を実施したのは、宮城県大崎市にある「古川メガソーラー発電所」で、連系出力40.3MW、太陽光パネルの出力56.9MWに達する。2016年12月に商用運転を開始し、約5年が経過している(図1)。

図1●「古川メガソーラー発電所」の全景
図1●「古川メガソーラー発電所」の全景
(出所:パシフィコ・エナジー)
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 調査は昨年6月から7月で、アジア航測に依頼した。その結果、残置森林や調整池の周辺に多くの生物が生息していることに加え、パネルを設置した範囲にも、野鳥の営巣が確認されるなど、メガソーラーと自然環境が共存している様子が明らかになった。

 確認された生物種は、事業地全体で植物375種、陸上昆虫362種に達したほか、水生生物35種、鳥類29種、両生類・爬虫類11種、哺乳類11種も見つかった。水生生物の多くが調整池周辺で見られたことを除けば、残置森林に多くの動植物が生息しているのは当然として、パネルを設置した範囲にも、植物193種、陸上昆虫162種、水生生物11種、鳥類13種、両生類・爬虫類9種、哺乳類8種が確認された(図2)。

図2●太陽光パネルの設置エリアにも多くの動植物が生息している
図2●太陽光パネルの設置エリアにも多くの動植物が生息している
(出所:日経BP)
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