電気事業法に基づく「電気工作物」に起きた事故の情報を全国規模で集約したデータベース「詳報公表システム」が構築され、製品評価技術基盤機構(NITE)が1月末に公開した。発電や変電設備、送配電インフラから、電気を使う設備までを総称する「電気工作物」の事故情報を初めて一元化した。類似する事故情報などを網羅的に調べられる。太陽光発電所も電気工作物であり、先例のある事故の再発防止策、未然防止策を立案する際に活用できそうだ。「基幹電源」に求められる信頼性や電力の安定供給に寄与する環境整備の1つといえる。
電気事業用や自家用の電気工作物では毎年500件以上の「詳報(電気事業法に基づき報告される事故情報)」が経済産業省に報告され、公表されている。
ただし、十分に活用されておらず、こうした電気工作物の事故情報を詳細かつ全国規模で集約し、より活用しやすい形で公開する仕組みが求められた。こうした背景で「詳報公表システム」が整備され、今回の情報公開につながった(図1)。
NITEの電力安全センターのwebで公開されている(検索画面)。おもに電気事業者の利用を想定しているが、誰でも自由に活用できる。条件やキーワードで簡単に検索でき、抽出されたデータをダウンロードできる。
検索機能で「太陽」と入力すると、太陽光発電の関連と思われる94件が登録されていた(図2、2月24日時点)。
このうち1件は風力発電所における事故で入力の誤り、もう1件は自家用の需要設備の点検時の事故で、太陽光発電設備の設置工事が並行して実施されていたという記入によるもので、太陽光発電設備そのものの事故ではなかった。この2件を除く92件が太陽光発電設備の事故である。