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FITの「落札容量ランキング」、トップは約180MWでカナディアン・ソーラー系、2位と断トツの差

巨大なメガソーラー開発企業が上位に、ENEOSなどエネルギー大手が参戦

2022/03/31 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 入札に基づく固定価格買取制度(FIT)の太陽光発電の認定が2017年度にはじまってから約4年が経った。回を重ねていくにつれて、落札価格の低下以外にも、国内における太陽光発電所の開発を巡る方向を象徴するような動きがみられるようになってきた。そこで今回、11回実施された入札で落札された案件の合計容量順のランキングを作成した(図1)。第2回は落札がゼロ件だったため、表からは外した。

図1●落札の合計容量の上位
図1●落札の合計容量の上位
(出所:日経BP)
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 3月27日に掲載した、件数順のランキング(関連記事)とは、大きく順位が入れ替わった。容量が10MW~100MWといった巨大な規模のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の落札が、大きく効いてくるためである。

 落札した合計容量が最も多かったのは、カナディアン・ソーラー・プロジェクト(東京都新宿区)および、その開発会社の1つであるティーダ・パワー110などである。

 代表者が同じ他の特定目的会社2社による1件ずつも加えて、落札した合計容量が180MW以上となった。

 2位は約98MWになるため、その差が大きく開いて断トツのトップだった。巨大な案件だけでなく、ミドルソーラーと呼ばれる50kW以上、1MW未満程度の太陽光発電所の規模の案件も落札しており、件数・容量ともに多いのが特徴である。

 ミドルソーラーは、高圧連系設備が必要になる割に出力規模が小さく、相対的に投資効率に劣るとされてきたが、メガソーラーの適地が減ってきている中、今後、開発が活発になることが期待されている分野である。

 入札が始まる以前から、カナディアン・ソーラー・プロジェクトの開発は、国内でも群を抜く。

 本拠のカナダなどでの経験から、日本における太陽光発電事業に魅力を感じ、入札にも積極的に参加して低コスト化を進めてきた代表的な企業の1つである(関連コラム:発電事業者が町に公園を寄贈、地域から信頼される鳥取大山のメガソーラー)。

 開発した太陽光発電所は、可能な限りインフラ投資法人に組み込む。インフラ投資法人では1000億円規模の試算に拡大する目標を持つ(関連インタビュー:「営農型も組み込みたい」「台風の影響は?」、カナディアンのインフラ投資法人・中村代表)。こちらも国内では断トツの規模となっている。

 第4位のENEOSも、同じように巨大なメガソーラーから高圧の案件まで、まんべんなく開発して、合計約90MWを落札している。

 太陽光のデベロッパーは、FITスタート当初、投資家としての側面が強い企業が主体だったが、ここ数年、再生可能エネルギー電源の確保を目的としたエネルギー大手に主導権が移っている。ENEOSはその代表的な企業と言える。

 一方で、数十MW~100MW近い巨大なメガソーラーを落札したことで上位に入っている場合もある。第2位のNRE-46インベストメント(落札合計容量:約98MW)、第3位のCESいわき太陽光発電所(約94MW)、第5位のパシフィコ・エナジー(85MW)、第8位の太陽光発電開発研究所(約63MW)、第11位のTMC(約55MW)、第12位のノザワワールド(35MW)、第14位の電源開発(約32MW)、第22位のスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(約22MW)、第23位のFirst・Solar・Japan(21MW)などがそうである。

 ここで目を引くのが、電源開発で、同社として初のメガソーラー開発になる。

 落札した「北九州市響灘太陽光発電所(仮称)」は、北九州市に立地し、落札価格は10.33円/kWh。同社は、風力開発の大手だが、メガソーラーにも乗り出してきた。ENEOSとともに再エネ開発を先導する大手エネルギー会社の1社と言える。

 入札制度が始まって以降、特別高圧に連系する巨大なメガソーラーの開発件数は減少している。

 背景には、売電単価の低下で大規模な土木造成の必要な案件開発が難しくなっていることや、2020年度から連系出力40MW以上のメガソーラーのすべて、環境影響の大きい30MW以上の一部のメガソーラーに対して、法令による環境アセスが適用されることになったことも開発コストを引き上げている。

 ただ、こうしたなかでも、2021年度の入札では、特高案件の落札が増加してきただけに、立地探索や工夫次第で、まだ大規模な案件開発が可能なことも示している。

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