海の中に太陽光パネルを沈めて発電しようという、水中での太陽光発電システムの開発が進んでいる。立地制約が少ない上、海水による冷却効果で太陽光パネルの発電効率を高い状態で維持できる利点もあるという。「海中太陽光発電システム」の研究開発に取り組んでいる神奈川大学工学部の由井明紀教授に、可能性や課題などを聞いた。
――横浜市との協定の締結もあり、関心が集まっています(関連ニュース)。海中での太陽光発電の意義や現状について教えてください。

神奈川大学 工学部の由井明紀教授
(出所:日経BP)
日本は国土が狭く、地上や屋根といった従来型の太陽光発電システムでは、設置場所に限りがあります。
その点、海であれば、世界で6番目に広い排他的経済水域を持っている国です。海中を活用できるようにできれば、太陽光発電システムの設置場所を飛躍的に増やせます。
水中に結晶シリコン型の太陽光パネルを沈めて発電すると、水深が深くするほど発電量は下がる傾向にありますが、電圧はそれほど大きく変わらないことがわかっています(図1~2)。
こうした実験を、神奈川大学の施設において、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型のそれぞれで実施しています。
また、わたしが以前勤めていた防衛大学校の海上訓練施設のほか、シンガポールやインドネシア、奄美大島でも関連する実験に取り組んでいます。