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「太陽光・第2幕がスタート、FIP、PPAなど多様化の時代に」、 経産省新エネルギー課・能村課長に聞く

メガソーラービジネス・インタビュー

2022/04/19 14:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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2030年度のエネルギー基本計画では、太陽光の導入量を現状の約60GWから約120GWに倍増させることが明記された。一方、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の支援制度は、固定価格買取制度(FIT)が終了し、買取価格を卸電力市場に連動させるフィード・イン・プレミアム(FIP)が今年度から導入される。経済産業省・新エネルギー課の能村幸輝課長に、新たな局面を迎える太陽光の推進政策について聞いた。

FITよりも売電収入増も

――太陽光の導入目標が倍増された一方、足元では買取価格の低下や、FIPへの移行もあり、新規案件の開発には様子見の雰囲気もあります。

経済産業省・新エネルギー課の能村幸輝課長
経済産業省・新エネルギー課の能村幸輝課長
(撮影:清水盟貴)
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能村 太陽光発電は、今年度から「第2幕」が始まり、さらなる普及に向けた新たなステージに入ります。これまではFITがけん引してきましたが、これを「太陽光・第1幕」とすれば、「太陽光・第2幕」では、FIPのほか、政策支援に頼らないコーポレートPPA(電力購入契約)による売電、そして自家消費など、事業形態が多様化していくことになります。

 2012年にFITが始まって以降、太陽光は急速に導入が進みました。この普及スピードは欧米に比べても引けを取らないもので、導入拡大の点で効果的な制度でした。しかし、国民負担の増大や、電力システム改革の流れといかに整合させるのか、などの課題も顕在化してきました。今年度から始まるFIPは、買取価格を卸電力市場と連動させつつ支援していくのが目的で、太陽光が「一般的な電源」として自立していくまでの橋渡しになります。

 2030年度のエネルギー基本計画、そして2050年のカーボンニュートラルを達成するには、まずは開発期間の短い太陽光、そして洋上風力への期待が大きいのは事実です。太陽光が、今後さらに増加していくには、卸電力市場で普通に取引される「一般電源」になることが不可欠です。再生可能エネルギーで先行する欧州でも、こうした流れの中でFIPを採用し、成果を上げています。

――発電さえすればよかったFITに比べると、FIPでは売電先を見つけて契約し、日々発電計画を作成するなど手間がかかります。買取価格も卸電力市場に連動するなど、不確定な要素が多く、いまのところ積極的に活用しようとの機運に乏しい印象を受けます。

能村 確かにFIPの仕組みは複雑で、FITに比べて収益性が低下するのでは、との懸念も聞きますが、これは誤解です。今年度から導入するFIPは、基準価格をFITの買取価格と同水準にする仕組みなので、20年間の事業期間で見れば、事業収益は原理的にFITと同じになります。さらに蓄電池を活用することなどで市場価格の高い時間に売電できれば、FITよりも売電収入は増やせます。

 もちろん、買取価格を卸電力市場に連動させることでボラティリティ(価格変動性)が大きくなるのは事実で、発電計画が外れた場合のインバランスリスクもあります。FIPによる売電事業に不安や懸念を持たれていることは理解しています。

 この点に関しては、事業計画のシミュレーションを事前に公表するなど、情報発信に努めているほか、インバランスリスクに対応するコストとして、当初、買取単価に1円/kWhを上乗せするなど、かなり手厚い支援も用意しています。発電事業者や金融関係者にも積極的なFIPの活用を促していきたいと考えています。

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