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メガソーラー内で自然観察会、サルやカエルを確認

パネル設置エリアにも多様な哺乳類や野鳥が生息

2022/05/10 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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調整池にカエルの卵

 岐阜県郡上市は、飛騨山地の南斜面にあたる山岳丘陵地帯に位置する。同市南部の美並地域には長良川が流れ、スギの森や遊歩道が整備された公園などがあり、自然とのふれあいを満喫できる。今年3月末、この地域の標高400〜600mの山間で稼働するメガソーラー(大規模太陽光発電所)で自然観察会が行われた。

 2019年7月に商用運転を開始した「パシフィコ・エナジー美並メガソーラー発電所」だ。元々、ゴルフ場の山岳コースだった場所を再開発したもので、出力は約55MWに達する。大規模な再生可能エネルギー事業を手掛けるパシフィコ・エナジー(東京都港区)が開発し、完成後の運営も担っている。設計・施工は東洋エンジニアリングが担当した(図1)。

図1●パシフィコ・エナジー美並メガソーラー発電所
図1●パシフィコ・エナジー美並メガソーラー発電所
(出所:パシフィコ・エナジー)
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 パシフィコ・エナジーは、ゴルフ場やリゾート開発跡地を活用した数十MW規模のメガソーラーを手掛け、これまで計15件、合計出力約1293MWのメガソーラーを建設しており、そのうち12件、合計約1041MWの発電所が商業運転を開始している。

 同社では、メガソーラー建設にあたって、林地開発許可に基づき、残置森林や調整池を確保することはもちろん、生物多様性に配慮し、調整池については、深めに施工して年間を通じて水が枯れないようにしたり、極力、自然の水辺を残したりしている。

 自然観察会には発電所関係者のほか、アジア航測の環境影響評価(環境アセスメント)の専門家が同行して、動植物の生息状況を解説した。

 美並メガソーラー発電所では、太陽光パネルの設置エリアに向かう山道の脇に調整池があり、そこが最初の自然観察の場になった。ゴルフ場時代からの調整池で、パネル設置エリアから流れる水系の下流域で一時的に水を溜める機能があるが、絶えず水が流れ渓流のような環境になっている。周囲をコンクリートで固めず、土嚢で整備しているため、定期的な補修が必要になるが、あえて自然に近い環境にしている(図2)。

図2●発電所に向かう山道近くにある調整池
図2●発電所に向かう山道近くにある調整池
(出所:日経BP)
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 調整池は、スギの植林木に囲まれており、池の浅瀬にはアズマヒキガエルがおり、その卵が産み付けられていた。東日本から近畿に広く生息するカエルで、早春に繁殖する。このほか池では、ヤマアカガエルも見られた。また、「ビィッビィッ」「ピッピッ」といったカワガラスの鳴き声が聞こえたものの、姿は確認できなかった。カワガラスは、河川の中流域や山地の渓流に生息している(図3)(図4)。

図3●調整池のアズマヒキガエル
図3●調整池のアズマヒキガエル
(出所:日経BP)
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図4●アズマヒキガエルの卵嚢
図4●アズマヒキガエルの卵嚢
(出所:日経BP)
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