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「水上太陽光を10.05円/kWhで実現できる理由」「学校のプールも活用」、シエル・テール日本法人に聞く(page 2)

メガソーラービジネス・インタビュー

2022/06/16 17:18
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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――FITの入札では、売電単価10.05円/kWhという意欲的な水準で落札した案件も出てきました。どのようにコストを低減しているのでしょうか。

 日本は世界の中でも太陽光発電所の設計ガイドラインが厳しい国のため、コスト面で難しさがありますが、さまざまな工夫によって売電単価が10.05円/kWhでも事業性を満たせる場合が出てきました。

 フロートそのものでは、従来の「Hydrelio(ハイドレリオ)クラシック」から、よりコストを下げられる「Hydrelioエアー」を製品化しました(図2)。

図2●より少ない部材で低コスト化した新製品(上)
図2●より少ない部材で低コスト化した新製品(上)
(出所:Ciel Terre Japan)
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 浮力や安定性、長期信頼性などは維持したまま、樹脂材料を減らすといった変更点があります。しかも、より大型の太陽光パネルを支えられるようにしています。

 製造プロセスをより自動化したり、設置時の組み立てを簡易化したりして施工コストも下げるなど、多くの工夫を積み重ねていることでコストを削減できます。

 こうした効率化は世界共通ですが、一方で日本では必要でもブラジルでは不要な要素があるなど、地域ごとで異なる面もあるため、世界共通の製品を供給しているわけではありません。使用される地域ごとの状況に合わせてカスタマイズしています。

 これら地道な努力によって売電単価10.05円/kWhで落札しましたが、その後、太陽光パネルやその他の資材コストが上がって、入札時の事業計画が崩れてしまい、現在の状況で改めて算出すると、事業性がギリギリになりつつあるのが実態です。

 今後は、より大型の太陽光パネルを採用することで、使うフロートの数量も減らしていく方向性をさらに強めていくことになります。そうなると、フロートには、より浮力を向上させる工夫が必要になります。

 また、フロートの施工や電気配線などEPC(設計・調達・施工)サービスの一部を担当し、稼働後のフロートやアンカーのO&M(運用・保守)まで任せてもらえれば、さらに事業性が高い水上太陽光発電所を実現できるようになります。

 この一環として、電気工事のライセンスを取得する予定です。逆に言うと、ここまで担当できないと、より売電単価が安い案件に対応できないとみています。

 今後は、コーポレートPPA(電力購入契約)に基づく売電向けが増えてくると思います。ここでは株主である東京センチュリーや伊藤忠商事の力も借りながら需要を開拓できればと考えています。例えば、彼らの顧客の中には太陽光発電電力をより多く使いたい需要家企業もあります。

 また、池は土地と違って、個人や企業の所有ではなく、自治体が所有して地域の水利組合や管理組合、地域自治区が管理している場合がほとんどです。自治体などから相談や引き合いは続いていて、今後は売電単価10.05円以下を想定しながら事業性を満たせる案件を目指していきます。

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