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「太陽光の保険事故情報を分析」「地域共生への筋道」、産総研・大関チーム長に聞く

メガソーラービジネス・インタビュー

2022/06/27 11:00
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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再生可能エネルギーの開発を巡り地域から反対運動が起こるケースが増えている。こうしたなか、経済産業省は、再エネと地域共生の在り方を関係省庁横断で検討する新たな有識者会議(再エネ発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会)を設置した。同検討会の委員でもある、産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター・太陽光システムチームの大関崇研究チーム長に太陽光の災害事故の状況や地域共生の在り方などを聞いた。

土石流災害がきっかけ

――昨年7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害で、一時太陽光発電設備が原因と疑われるなど、太陽光発電開発への“悪もの”イメージが広がっています。ここにきて政策面でも再エネと地域共生の問題がクローズアップされています。

産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター・太陽光システムチームの大関崇研究チーム長
産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター・太陽光システムチームの大関崇研究チーム長
(撮影:日経BP)

大関 太陽光発電設備の保安業務に関しては、固定価格買取制度(FIT)の見直しと並行して、電気事業法改正や設計ガイドラインの作成など政策的な対応を着々と打ってきました。そうしたなかで、政府が新たな検討会を設置したきっかけの1つは、やはり熱海市の土石流災害もあります。

 熱海市の災害では、最終的に太陽光発電設備が原因でないことが分かりましたが、それ以前から太陽光発電所を巡って地域住民とのトラブルが目立っていたことは事実ですし、内閣府のタスクフォースでも再エネと地域共生の問題がテーマになっていました。こうした問題では省庁間の連携が必要なこともあり、熱海の災害をきっかけに縦割り行政を超えた政策対応が始まったのだと思います。

――太陽光では、今年度からフィード・イン・プレミアム(FIP)が導入され、国の買取制度を利用しないコーポレートPPA(電力購入契約)での案件開発も始まっています。経産省による事業認定の必要ない案件の場合、法令違反に対する「認定取り消し」などの懲罰的な手法が使えなくなります。

大関 確かに、太陽光発電を巡る推進政策が変わり目にあることも、保安規制の面で新たな政策対応が必要になっている背景といえます。

 もともと、「認定を出した再エネ発電所からプレミアムを付けて電気を買い取る」というFITの仕組みは、「特別措置法」という緊急の法的枠組みによるので、いずれ終わることが前提でした。安全面の対策や保安業務に関しては、FITによって再エネ事業を推進しながらも、法改正などによって事業規律を高める方向に誘導しつつ、買取制度の終了とともに事業者が自律的に管理するという絵姿を描いていました。

 ただ、現時点の状況を見ると、残念ながら行政面でのウオッチがまったく必要ないというレベルには至っていないのも事実です。そうなると、まずはすべての電気工作物を対象にできる電気事業法を活用する一方、案件開発の入り口段階で、立地に関わる規制、例えば、森林法や盛り土規制法などを使って安全対策を促すという仕組みになると思います。省庁横断的な対応が重要というのは、こうした面からです。

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