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期待高まる「アグリゲーター」、エナリスが第1号に

実証事業に見る、「再エネアグリ」の可能性

2022/07/21 15:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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FIPやオフサイトPPAをサポート

 国内の電力業界に「アグリゲーター」と呼ばれる事業者が登場した。「アグリゲート」とは「束ねる」を意味し、分散する再生可能エネルギーや系統用蓄電池などからの出力を「束ねる」役割を担う。今後、電力の安定的な供給に欠かせない存在になりそうだ。

 背景には、2022年度から導入されたフィード・イン・プレミアム(FIP)がある。固定価格買取制度(FIT)と違い、FIPは発電事業者が発電量を予測して発電計画を立てる必要がある。そして、実績と乖離した場合、ペナルティとしてインバランスコストを負担することになる。ここにきて導入が始まった「オフサイト型コーポレートPPA(電力購入契約)」モデルによる売電事業でも同様の仕組みになる。

 こうした運用を規模の小さな発電事業者が負担するのは荷が重く、専門知識を持つ「アグリゲーター」にアウトソーシングすることが一般的になりそうだ。アグリゲーターは、電源や蓄電池など分散型のエネルギー設備を束ね、小売電気事業者などに電力を供給する機能を持つが、実際にどの程度、インバランスリスクを回避できるのか、未知の部分もある。

 経済産業省が2021年度に実施した「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」はこうしたアグリゲーターの可能性を探ったものだ。今年3月に公表された同実証の成果報告から見えてきたアグリゲーターの役割と効用についてまとめた。

 再エネアグリゲーション実証で主導的な役割を果たしたのは、エナリス(東京都千代田区)、東芝ネクストクラフトベルケ(川崎市)、SBエナジー(東京都港区)で、それそれコンソーシアムを組んで、アグリゲーター業務を模擬した実証に取り組んだ。

 経産省は、実証と並行して、電気事業法を改正して、「アグリゲーター(特定卸供給事業者)」を法的に位置づけた。アグリゲーターは変更命令付きの届出制となり、エナリスが今年4月1日に第一号のアグリゲーター届出事業者となった。同社は、実証の成果も生かし、同日から「再エネアグリゲーションサービス」の提供を開始した(図1)。

図1●「再エネアグリゲーションサービス」のイメージ
図1●「再エネアグリゲーションサービス」のイメージ
(出所:エナリス)
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 再エネアグリサービスでは、FIPやオフサイト型コーポレートPPAで発電事業者に求められる発電量の予測、計画値の作成・提出などをエナリスが代行する。同社によるとすでに、FIPやオフサイト型PPAでの売電を目指す再エネ発電事業者からの問い合わせが相次いでいるという。

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