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太陽光ドローン点検の「二極化」と「情報セキュリティ」に対応、「国産機」採用の京都ベンチャー

「精密な点検」と「緊急度の高い異常を探す簡易な点検」は、別の手法で模索

2021/01/14 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 ドローン(無人小型飛行体)による空撮を応用した太陽光パネルの点検の需要は、大きく2つにわかれつつある(図1)。

図1●太陽光発電所における空撮時の様子
(出所:WorldLink & Company)
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 1つは、人間の健康診断でいうCTスキャンに相当するような「精密な診断」を求める方向である。

 融資する金融機関の視点から綿密で計画的なアセットマネジメントを要するようなメガソーラー(大規模太陽光発電所)や、経営者や事業責任者が同じような思考を持つ中小企業による太陽光発電所が多く活用する傾向にある。

 長期の売電期間における事業性を最大化する意識が高く、他の多くの太陽光発電所であれば、しばらく様子を見て本格的な対策を引き延ばすような異常でも、即座に手を打つ方が長期間の事業性では利点が大きいと判断して実行する場合がある。

 こうした発電所では、機器の筐体や架台のサビ、太陽光パネルの汚れといった状況にも、素早く対策を講じることが多い。

 もう1つは、緊急度の高いトラブルを発見することに限定した「簡易的な診断」という方向である。「精密な点検」に比べると、コストの低さを優先する傾向にある。実際には、こちらの需要の方が多いようだ。

 これら2つのタイプは、目的が異なることから、空撮に使う赤外線カメラから、空撮の方法や手順、空撮した熱分布画像の処理や解析の方法などまで、異なる場合が多い。

 両方を兼ね備えた方法やサービスは、現在のところ難しいようだ。目的に応じて点検サービスの委託先を使い分ける必要がある。

 最近になって、もう1つ顕在化してきた需要が、点検プロセスを通じた「情報セキュリティ」の確保である。

 これは、中国企業製の機体などを使うことによる情報の漏洩などへの危機感が高い発電事業者にとって、優先度が高くなってきている。

 他の分野のドローンの応用と同じように、太陽光パネル点検でも、ドローンの世界最大手である中国の大疆創新科技(Da-Jiang Innovations Science and Technology:DJI)製の機体が使われることが多い。DJI製の機体は、安価で小型、性能や使い勝手も良いことが評価されている。

 しかし、情報漏洩などの懸念から、DJIは、米国が禁輸措置の対象としているほか、日本でも機体の新規購入を見送る動きが出てきた。

 ドローンは、一般的なIT関連システムと同じように、制御の向上などを理由としたソフトウェアの更新や、その他のデータの送受信が、機体メーカーとの間で頻繁に行われているとされる。

 国内でも、情報セキュリティをとくに重視している大手企業が、太陽光パネルの点検に使われたドローンを通じて海外に流出するリスクを下げる方針を打ち出すようになってきた。

 他の分野では、実際に機体を買い替える例も出てきている。

 このような中、太陽光パネル点検の手法として、「精密な点検」と「簡易的な点検」のそれぞれに対応できる手法の確立を模索し、かつ「情報漏洩リスクの最小化」のニーズにも対応できるドローン関連企業も登場している。

 例えば、ドローン関連を総合的に手掛けるWorldLink & Company(京都市北区)は、現状では「精密な点検」に向くサービスを提供しているが、「簡易的な点検」を念頭に置いたサービス開発にも取り組んでいる。

 さらに、2020年12月には、自社のドローンを使った太陽光パネル点検サービスに、国産の機体を使ったメニューを加えることを発表した。「情報漏洩リスクの最小化」の需要に対応したものである。

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