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ドローンでEL検査、太陽光パネル向けの新サービスが本格化

パネル交換の費用対効果、PIDの発電への影響も詳細に報告

2020/04/08 06:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 ドローン(無人小型飛行体)を使った太陽光パネルの異常の発見に、新たな手法が登場した。上空から太陽光パネルのEL(エレクトロルミネッセンス)画像を空撮するもので、中部電力グループの電設工事会社であるトーエネックが事業化した(図1)。

図1●夜間、現地でEL画像を撮影する
(出所:トーエネック)
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 ドローンを使って太陽光パネルの異常を発見するサービスとしては、従来、パネルの熱分布の画像を空撮し、温度分布に異常がある部分を発見するものが主流で、さまざまな企業が事業化している。

 温度分布の様子から太陽光パネルやセル(発電素子)に生じている異常を推測して顧客に報告したり、そのパネルを他の方法でより詳細に調べて異常の状態や原因を究明する手がかりとする。

 これに対してEL検査は、太陽光パネルメーカーが製品の出荷時の検査に採用している方法で、パネルの発電状態の異常をより明確に可視化できる。

 太陽電池セルは、特定の波長帯の光が当たると発電し、逆に、セルに電流を流すと特定の波長帯の光を発光する。この特徴を使って、太陽光パネルに電流を流して特定の波長帯の光を発光させ、その発光の状況からパネルやセルの異常を見つける。この検査は暗室で実施する。

 EL検査は、検査そのものの有用性や信頼度の高さが認められている一方、相対的に手間とコストがかかる。このため、太陽光発電所の稼働後は、パネルに重大な異常が生じ、メーカーに交換を要求する際にのみ実施されることがほとんどとなっている。

 該当するパネルのEL検査をメーカーが実施する場合には、架台から取り外してメーカーに送る。その手間と費用は、発電事業者が負担することがほとんどである。トラックの箱型の荷台を活用した移動式のEL検査サービスも出てきているが、架台から太陽光パネルを着脱する手間は変わらない。

 トーエネックが事業化したのは、このEL検査をドローンによる空撮で実施する手法で、太陽光パネルを架台から取り外す作業を不要にした。EL検査に必要な「暗室」と「太陽光パネルへの電流の印加」も、発電を止めることなく実現した。

 夜間に実施することで、屋外でも暗室のような状態となっていることを生かした。通常、太陽光発電所に夜間に人が出入りすることはないため、照明を備えていることは少ない。電流を印加した太陽光パネルやセルの発光状態は、夜間ならばそのままで高精度に撮影できる。

 太陽光パネルへの電流の印加は、接続箱の入力端子を通じてストリング(パネルの接続単位)ごとに実施していく。これも夜間は日射がなく、元々発電が止まっているので、発電ロスを生じず、また、発電事業者の手間はまったく要さない。

 太陽光発電は、手軽に手掛けられるような印象がある。しかし、トーエネックは、電力設備に長くかかわってきた経験から、太陽光発電所もあくまで「発電所」であって、他の発電技術と同じように、設備の健全性を維持、追求するべきと考え、それに寄与する点検技術の一つとして開発、事業化した。

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