特集

世界初、風車を点検・補修する日本のロボット(page 3)

見過ごされてきた発電ロスを最小化

2020/05/13 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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AI分析との連携や自動制御も

 ブレードの点検や補修には、いくつかの種類がある。すべてをロボットが担えるかどうかは未知数で、将来も人手による作業に頼るものもある(図4)。

図4●点検や補修の種類とロボットの活用
(出所:LEBO ROBOTICS)
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 点検には、主に目視点検と導通検査の2つがある。目視点検は、ブレードの表面を見て傷や剥がれなどの損傷を見つけるのが主な目的となる。その結果は、人手による作業を実施する時期を決める判断材料になる。

 目視点検については、LEBO ROBOTICSは、地上から望遠レンズ付きのカメラでブレードの表面を鮮明に写し、その画像をAIで分析するサービスを提供している。これに対して、ドローン(無人小型飛行体)を使ったサービスを手掛けている企業もある。

 同社が展開しているのは、フランスのCornisによるAIを応用した画像分析サービスで、国内販売代理店を務めている(図5)。Cornisによるサービスは、洋上も含めて世界で1万基以上に提供した実績があるという。

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図5●CornisのAIを応用した分析サービス
(出所:Cornis、LEBO ROBOTICS)

 LEBO ROBOTICSによると、Cornisの技術はロボットを使った点検や補修と相性が良く、今後は相乗効果も期待している。Cornisの技術を併用することで、事前にAIで分析した損傷などの状況と、ロボットで近づいて把握した実際の状況のデータを組み合わせることで、AIによる分析力がより向上するという。

 導通検査は、風車が備える避雷針の機能の異常を見つけるために実施される。ブレードは、アースの役割を担っている。ブレードの先端に備える部材を通じて、適切に導通しているかを確認する。

 LEBO ROBOTICSがロボットによるサービスで、すでに実績があるのがこの導通検査で、最初に本格化させる分野としている。海外にも広げ、2020年中に欧州でもサービスを開始する。

 一方、補修では、表層の傷にパテを盛ったり研磨する、塗装するといったブレード表面の比較的軽度な損傷をターゲットとしている。現在、このサービスに対応できるロボットを開発中で、当初は地上から人手で遠隔操作する手法でサービスを開始し、その後、自動制御に進化させる計画である。自動制御は2024年には実現したいとしている(図6)。

図6●自動制御や他分野への展開も構想
(出所:LEBO ROBOTICS)
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 補修の中でも、繊維強化プラスチック(FRP)層が損傷している場合には、ロボットでの対応には限りがあり、人手の作業が残るとみている。

 同社では、今後の開発やサービスの本格化に向けた資金の調達を4月に発表した。調達額は非公開とし、マネックスベンチャーズ、三井住友海上キャピタルなどを引受先とする第三者割当増資を実施した。

 調達した資金は、ロボット関連の技術者の採用と、国内と欧米にサービスを本格化するための拠点の開設と営業要員の採用に充てるとしている。ロボットによる導通点検サービスの本格化と、国内での補修サービスの開始までに必要な資金としている。

 ロボット関連の技術者を採用するのは、サービスの本格化に必要なロボットの要素が、これまでとは異なってくるためである。

 これまでは研究機関やメーカーの協力を得ながら、公的な助成などを活用しながら開発してきた。技術実証を目的とした、こうした段階と、本格的なサービスに使う段階では、機能や強度に求めるものが異なってくる。そこで、メーカーなどで経験の豊富な技術者を採用し、本格的なサービスに適したロボットを設計し、製造を委託できる体制を整える。

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