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パネル下や斜面を安全に除草、手の届く価格の「ラジコン型」

電動化でその場でも回転、補助制度を活用して60万円程度

2022/06/02 22:32
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 草刈りは、農業にとっても太陽光発電所にとっても悩ましい問題である。作物の収穫や発電という、収入には直接的に寄与しない。それにもかかわらず手間や費用をかけて除去しないと、差し支えが大きい。

 雑草の除去を効率化する手法として、国内では乗用型草刈機が広く使われている。しかし、乗用型草刈機も万能ではなく、急な斜面や低い位置に構造物などがある場所には向かない。

 例えば、アレイ(太陽光パネルの設置単位)の下は、作業するには狭い空間で、架台の筋交いが通っていたりするなど、乗用型草刈機では走行できないことが多い。一定以上の急な斜面も、乗用型草刈機では安全上、問題があるため、アレイ前後などを乗用型草刈機で効率的に刈っておき、アレイ下や急な斜面は刈払機で刈るといった使い分けされていることが多い。

 柄のように長いハンドルの付いた草刈機も使われてきた。しかし、ハンドルの長さは2m程度に限られるため、短い斜面でない限り斜面の不安定な場所で作業したり、アレイ下に腰をかがめて潜り込んだりして作業することには変わらない。効率化に限界があった。

 こうした場所では、ラジコン型草刈機への期待が大きい。しかし、これまでの機種は欧州メーカー製が先行しており、広い斜面などを主な対象としたものだったため、個人がほとんどの日本の農家などが使うのは難しかった。価格も海外メーカー製の高級乗用車が買えるほどの水準だった。

 ここにきて、国内の農業機械・草刈機で実績のあるメーカーが、小型で比較的安価なラジコン型草刈機を製品化しはじめた。新しいところでは乗用型草刈機などが広く使われているオーレック(福岡県広川町、手押し型の関連コラム乗用型の関連コラム)が6月に販売を開始した(図1)。

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図1●太陽光パネル下も走行
図1●太陽光パネル下も走行
(出所:オーレック)
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 同社が発売した機種(「スパイダーモアーRC(型式:RCSP530」)は、寸法が970mm × 915mmと小型で、高さは580mmと低いので、太陽光発電所で使うとアレイ下を通り抜けることができる。

 こうした小型のラジコン型草刈機を使えば、アレイ下も効率的に除草できる。ラジコン型は手元の送信機(プロポ)で操作するため、作業者は斜面を登ったりアレイ下に潜り込んだりする必要はない。酷暑の日であれば、アレイ下の日陰で操作して直射日光を避けるといったこともできる。

 今回発売したラジコン型の機種では、エンジンの始動や刈刃のオン・オフ、刈高や速度の調整といった草刈り作業に必要な動作はすべて送信機で操作できる。

 価格は129万8000円(税込み)と、これまでの海外メーカー製のラジコン型草刈機に比べて大幅に安い。農家がスマート農業関連の補助を活用して60万円程度の自己負担で導入できることを目標に開発した。

 動力はエンジンとモーターの2種類を使っている。

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