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AIで解析、報告書まで自動化、IT大手の総合力を生かした太陽光ドローン点検(page 4)

落雷による「モザイク状」の異常も発見

2019/07/03 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 後工程となる、ドローンで空撮した熱分布画像の解析では、まず画像の位置を特定し、発電所内の太陽光パネルの配置図と整合させる作業に、AIは使わない。

 顧客の発電事業者やO&M事業者から事前に入手した敷地内のパネルの配置図を活用し、自動飛行の航路と、熱分布画像の位置情報の両方のデータを合わせ、熱分布に異常のある太陽光パネルの配置図内の位置を特定する。このプロセスは、自動化されている。

 AIを活用するのは、この後である。太陽光パネルに生じている熱分布の異常の現象を4種類に分類した上、その異常への対応の緊急度も3分類する(図3)。

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図3●太陽光パネルの熱分布の異常を4種類に分類
(出所:NECネッツエスアイ)

 熱分布の異常は、「部分的な過熱・発熱(ホットスポット)」、「クラスタ異常」、「太陽光パネル全体の過熱」、「ストリング全体の過熱」に分類する。

 「部分的な過熱・発熱」は、セルのマイクロクラック、太陽光パネルの汚れ、影などによる場合が多い。「クラスタ異常」は、インターコネクタの断線、はんだ不良、バイパスダイオードのショートによる場合が多い(図4)。

図4●ホットスポットとクラスタ異常
(出所:NECネッツエスアイ)
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 「クラスタ異常」とは、不具合によってセル(発電素子)の出力が低下した結果、バイパスダイオードが働いて、クラスタ(3分の1ごとにわかれている複数セルの直列回路)ごと発電を停止している状態を指す。

 「太陽光パネル全体の過熱」は、カバーガラスの割れ、バックシートの異常による場合が多い。「ストリング全体の過熱」は、コネクターの損傷、電線の損傷、接続箱の開放による場合が多いとしている。

 自動解析では、NECのAI技術群の1つである「RAPID機械学習技術」を活用している。

 「RAPID機械学習技術」は、ディープラーニングと呼ばれる、音声認識、画像特定、予測など人間のような行為を実行できるようにコンピューターに学習させる技術を応用したもので、今回は、ドローンで空撮した太陽光パネルの熱分布画像の解析で必要な、熱分布の正常と異常の区別、異常の傾向などをAIが自動で学習し、データの分類や異常の検知などを高精度で実施できるようになったとしている(図5)。

図5●AIによる解析の精度を高めてきたという
(出所:NECネッツエスアイ)
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 自動学習に必要なデータは、「教師データ」と呼ばれる。まず、太陽電池セル、セルを連ねたクラスタ、太陽光パネル、ストリングの段階ごとに正常な熱分布の画像、異常を含む熱分布の画像を集めて「教師データ」とした。これを使ってAIに学習させ、AIが自動で解析するモデルを構築した。

 太陽光パネルの熱分布画像における解析精度は、人手による一般的なサービスの場合で95%とされており、AIで同等以上の精度に向上することを目指し、実現したことでサービス開始に踏み切ったという。

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