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AIで解析、報告書まで自動化、IT大手の総合力を生かした太陽光ドローン点検(page 5)

落雷による「モザイク状」の異常も発見

2019/07/03 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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落雷による逆電流による損傷も検出

 実際の解析例では、実証試験の段階で、ドローン点検による発見例が限られている種類の異常も発見できているという。太陽光パネルに、モザイク状に熱分布の異常が現れるタイプのトラブルである(図6)。

図6●モザイク状の温度分布の異常は、落雷による逆電流による損傷
(出所:NECネッツエスアイ)
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 これは、落雷や逆流防止ダイオードの故障などによって、太陽光パネルに向かって電流が逆流したことで生じたとみられている。パネル内に逆流した電流によって、セルが損壊し、その損傷度合いによってモザイクのように濃淡のある熱分布の異常になったのではないかと推測している。セルの過熱は、100℃以上に達しており、すぐに交換したほうが良いレベルだったという。

 NECネッツエスアイの点検サービスの報告書には、検出した異常に対して、対応の緊急度も3段階で評価を伝える。80℃異常の過熱は、緊急度が最も高いレベルに分類しており、このモザイク状の異常による100℃以上の過熱は、最高レベルの緊急度に該当していた。

 同社は、静止画で撮影している。動画で撮るサービス企業も多いが、同社の場合、絶対温度の情報がすべての画素に記録される静止画の方が、緊急度の提示などで利点が多いとしている。動画の場合、絶対温度が記録されず、配置図へのマッピングにも制約が大きい。

 落雷とみられる損傷で、パネルにモザイク状の熱分布異常が見つかった発電所は、事業計画時の予想発電量に比べて、実際の発電量が大幅に少ない期間が約3年間続いたものの、状態を調べることなく放置されていた。

 ハードウェアの面では、解析の環境として、NECの北米研究所の独自技術を活用し、分析エンジンの高速化と軽量化の両立を実現した。これによって、大規模なハードウェア環境を必要とせず、1台のサーバで解析できるとしている。

 ドローンに搭載する赤外線カメラについては、NECグループの日本アビオニクスでも開発・製品化しているが(関連ニュース)、米国メーカー製を採用した。

 日本アビオニクスの赤外線カメラモジュールは、NECネッツエスアイが求める水準の小型・軽量化を実現できておらず、一般的に広く採用されている米国メーカー製の製品を採用した。

 今後、ドローンを使った太陽光パネルの点検サービスは、自社でEPCやO&Mを受託している太陽光発電所だけでなく、幅広く展開していきたいとしている。

 EPCやO&Mを広く手がけることから、パネルの異常に関する知見が豊富で、幅広い蓄積を融合した診断などを提供できると強調している。

 

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