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洋上風力の点検に期待、開発進む「水空合体型」ドローン

親機が水面で待機、子機が海中に潜水、音響測位で位置を把握

2022/07/14 15:11
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 世界初という「水空合体型」のドローン(無人小型飛行体)の開発が進んでいる(図1)。水中のインフラ点検への応用が期待され、その1つに洋上風力発電設備がある。KDDIグループが開発している。

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図1●近くの水面まで飛行し、水中ドローンを放す
図1●近くの水面まで飛行し、水中ドローンを放す
下の2枚は水中ドローンで撮影した画像の例(出所:KDDIスマートドローン)
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 点検対象に近い水上までは、空中を飛んで向かう。そこで水面に降りて、水中を潜るドローンを切り離す。水中を潜るドローンが点検対象に近づいて撮影などをする。

 空中を飛ぶドローン(以後、空中ドローン)が親機、水中を潜るドローン(以後、水中ドローン)が子機のようになり、水中での作業が終わると、水面にとどまっている空中ドローンまで戻って収納され、再び一体となって空を飛んで戻っていく。

 空中ドローンは、すでに一般的に活用されている。自律飛行や遠隔操作も当たり前のようにできる環境が整ってきた。一方、水中ドローンは新しい分野である。

 KDDI、KDDI総合研究所、プロドローン(名古屋市天白区)が共同で開発しはじめ、機体を開発しているプロドローンには、KDDIも出資している。2022年に入り、KDDIはドローン関連を手掛ける子会社、KDDIスマートドローン(東京都港区)を設立し、同子会社に開発や事業を移管している。

 2021年12月には、海上まで自律飛行させ、遠隔で水中の様子を撮影することに成功したと発表した。この実証試験は、電源開発の協力を得て、北九州市若松区にある電源開発の事業所において実施した。

 この実証は、洋上風力発電設備の点検と、漁礁となる藻の状況調査を想定したものである。浮体式の洋上風力発電設備では、海中に潜っている発電設備の下に、漁礁が形成・維持されていることが期待され、定期的に藻の状況調査も必要になる。

 これまでの水中インフラの撮影や点検は、大型の船で対象設備に近づき、潜水士が潜って実施していることが多く、コストや所要時間、安全性などが課題となっている。この作業を水中ドローンで代替し、より低コストで効率的、安全性の高い作業に変えることを目指している。

 例えば、これまでの手法では、船で対象設備の近くまで向かう。もし荒天が続いて海が一定以上に荒れていると、船を出航させることができない。空中ドローンであれば、少し大型の機体を使うことで荒天時の風にも比較的、強くなるために、天候の事情による待機などは少なくなる利点もある。

 漁業や大型の船、ダム、橋梁、ブルーカーボン(海域で吸収・貯留される炭素)関連の定期観測など、当初から幅広い潜在需要がある(図2)。

図2●幅広い需要が見込まれる
図2●幅広い需要が見込まれる
(出所:KDDIスマートドローン)
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