国内のさまざまな施設が、カラスに悩まされている。その対策として、佐賀県にある太陽光発電所で、これまでにない手法が導入されて、成果を上げている。ドローン(無人小型飛行体)と地上に置いた定置型のスピーカーを組み合わせ、地上と上空からカラスが嫌がる音声を拡声するというものだ。
太陽光発電関連やドローンのスクール運営などを手掛けている日本環境テクノ(佐賀市)が、自社で開発・運営している出力約930kWの太陽光発電所で、効果を確認した。
スピーカーを備えたドローンが、太陽光発電所の上空を、カラスの悲鳴などの音声を鳴り響かせながら飛び回ると、発電所内や近隣の樹木にとまっているカラスが、慌てて右往左往して飛び去っていく(動画1)。この太陽光発電所の周囲には、数百~1000羽程度のカラスの群れが日常的に飛来していた。
この動画は、初めてドローンを飛ばしてカラスが嫌がる音声を拡声した時のもので、カラスの大群が一斉に逃げ出している様子がわかる。ドローンと地上の定置型のスピーカーによる拡声を組み合わせたカラス撃退法の効果は持続性があり、現在では、この太陽光発電所の周辺にカラスが寄り付かなくなったという。
日本環境テクノでは、この手法の有効性の認知度を高めようと、地元の佐賀に拠点を置く新聞社やテレビ局を招いて、デモンストレーションを披露する機会を設けた。この際、太陽光発電所の周辺には、すでにカラスが寄り付かない状況になっていた。そこで、近隣のカラスが残っている山を探し、そこでデモを実施しなければならなくなっていたほど効果があると強調している。