メガソーラー(大規模太陽光発電所)におけるロボット草刈機の活用で、位置情報を使った、これまでにないサービスを手掛けようとする動きが出てきた。
まず、スウェーデンの林業・農業・造園向け機器メーカーである、ハスクバーナのロボット型芝刈機である。国内では、日本法人のハスクバーナ・ゼノア(埼玉県川越市)が販売している。自動で芝を刈れることから、工場の緑化や住宅の芝の管理などで広く採用されている。平坦な土地で低く刈った状態であれば、雑草を刈ることもでき、太陽光発電所でも活用されている。
米iRobotの室内用ロボット掃除機「ルンバ」による室内の清掃のように、草を刈りながら自律的に敷地内を動き回り、蓄電残量が少なくなると充電ステーションまで戻る。満充電になると再び走行して草を刈り始めるなど、手間いらずの除草を実現できる。
同社は最近、位置情報を活用した新たな機能を追加した。走行範囲の場所ごとの芝の状態に応じて、その場所を刈る頻度を自動で調整する機能である。GPS(全地球測位システム)を活用したナビゲーション機能と、回転刃を回すモーターにかかる負荷を検知する機能によって実現している(図1)。
さらに今回、紹介するのは、国内の農業系ベンチャーと、地図の老舗による取り組みである。銀座農園(東京都中央区)とゼンリンデータコム(東京都港区)が提携した。
銀座農園というベンチャーは、どんな会社なのか。そもそも「銀座」という地名と、「農園」は最も縁が遠い印象を受ける。2009年に設立され、東京の銀座で田んぼを運営していた(図2)。
その後、高濃度トマトなどの高付加価値な野菜などに関するコンサルティング、農作業を効率化する各種のロボットを活用する「スマート農業」関連に業容を広げていった。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)とは、月のような環境における野菜の栽培を模索する一環で、LEDを使ったトマトの育成で連携したり、NTT東日本とは高速通信規格である「ローカル5G」を活用したイチゴの数量カウントロボットなどを実証している。四国電力とも、四電が出資している農業法人を通じてシシトウの収穫ロボットなどを使ったスマート農業への取り組みに関わっている。
こうした取り組みに必要なロボットも開発している(図3)。