PVロボット最前線

「刈る頻度を細かく調整」、太陽光向け「ロボット草刈り」に位置情報を活用

銀座農園とゼンリンデータコムが作業効率化で提携

2021/07/22 12:31
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 メガソーラー(大規模太陽光発電所)におけるロボット草刈機の活用で、位置情報を使った、これまでにないサービスを手掛けようとする動きが出てきた。

 まず、スウェーデンの林業・農業・造園向け機器メーカーである、ハスクバーナのロボット型芝刈機である。国内では、日本法人のハスクバーナ・ゼノア(埼玉県川越市)が販売している。自動で芝を刈れることから、工場の緑化や住宅の芝の管理などで広く採用されている。平坦な土地で低く刈った状態であれば、雑草を刈ることもでき、太陽光発電所でも活用されている。

 米iRobotの室内用ロボット掃除機「ルンバ」による室内の清掃のように、草を刈りながら自律的に敷地内を動き回り、蓄電残量が少なくなると充電ステーションまで戻る。満充電になると再び走行して草を刈り始めるなど、手間いらずの除草を実現できる。

 同社は最近、位置情報を活用した新たな機能を追加した。走行範囲の場所ごとの芝の状態に応じて、その場所を刈る頻度を自動で調整する機能である。GPS(全地球測位システム)を活用したナビゲーション機能と、回転刃を回すモーターにかかる負荷を検知する機能によって実現している(図1)。

図1●サッカーで使われているグラウンドにおける例
(出所:ハスクバーナ・ゼノア)
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 さらに今回、紹介するのは、国内の農業系ベンチャーと、地図の老舗による取り組みである。銀座農園(東京都中央区)とゼンリンデータコム(東京都港区)が提携した。

 銀座農園というベンチャーは、どんな会社なのか。そもそも「銀座」という地名と、「農園」は最も縁が遠い印象を受ける。2009年に設立され、東京の銀座で田んぼを運営していた(図2)。

図2●銀座1丁目で運営していた田んぼの様子
(出所:銀座農園)
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 その後、高濃度トマトなどの高付加価値な野菜などに関するコンサルティング、農作業を効率化する各種のロボットを活用する「スマート農業」関連に業容を広げていった。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とは、月のような環境における野菜の栽培を模索する一環で、LEDを使ったトマトの育成で連携したり、NTT東日本とは高速通信規格である「ローカル5G」を活用したイチゴの数量カウントロボットなどを実証している。四国電力とも、四電が出資している農業法人を通じてシシトウの収穫ロボットなどを使ったスマート農業への取り組みに関わっている。

 こうした取り組みに必要なロボットも開発している(図3)。

図3●ブロワー付きのロボット
(出所:銀座農園)
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営農型でもすでに活用

 ゼンリンデータコムとの提携による位置情報関係を活用するサービスを支えるロボット草刈機は、すでに太陽光発電所で使われている(図4)。

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図4●太陽光発電所で使われているロボット草刈機。営農型でも採用
(出所:銀座農園)
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 通常の地上設置型だけでなく、営農型の太陽光発電所でも活用されている。この営農型では、太陽光パネルの下でサカキが栽培されている。

 現在の機種は、基本はラジコン操作となっている。オプションで、前を歩いている人を追尾したり、自動走行も可能としている。

 前を歩く人を追尾して走行できれば、ラジコン操作は不要となる。自動走行では、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)のデータを活用する。

 刈幅は53cm、刈刃の高さは最高で80cmに設定できる。蓄電池で駆動し、満充電時で約40分走行できる。傾斜は20度までに対応できる。

 自動走行の経路を、GNSSの位置情報を使って設定する(図5)。ドローン(無人小型飛行体)が自動飛行する時の航路設定とほぼ同じである。

図5●GNSSを使った自動走行も可能
(出所:銀座農園)
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 位置情報を活用した太陽光発電所向けの事業として有効なサービスの1つは、場所ごとの草刈りの頻度や作業時の強度といった情報の提供という。雑草の伸びが速い場所や、伸びてしまうと刈るのが困難な場所には、より高い頻度で走行させて他の場所以上に伸びを防ぐといった運用を支援する。

 ゼンリンの地図の位置情報と、銀座農園のロボット草刈機の自律運転システムを連携させる。この連携を標準化できれば、太陽光発電所や農地に限らず、さまざまな分野に応用できると期待している。

 例えば、現在は農業の資材運搬用に使われているロボットが、倉庫やホテルでも使われている(図6)。

図6●倉庫やホテルなどでも活用されている運搬ロボット
(出所:銀座農園)
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 このロボットも現在はラジコン操作が基本だが、ロボット草刈機と同じで、前を歩く人への追尾や、自動走行をオプションで可能にしている。

 このロボットでも、倉庫における作業効率に関する位置情報関連のサービスを展開できる可能性があるとしている。