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「本格的な草刈機」も自動走行へ、IoTのオープン開発環境を活用して開発(page 3)

障害物の回避にはクルマの自動運転技術を応用

2022/08/01 21:05
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 今回の開発では、オーレックが先日、製品化したラジコン型の草刈機をベースとしている。

 ここに、測位衛星からの信号の受信アンテナ、レーザー光の受発信器、カメラといったセンシング系デバイスとともに、情報を処理・制御するためのCPU(中央演算処理装置)などを追加している(図4)。

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図4●ラジコン型をベースとしてセンシング系・制御系を追加した
図4●ラジコン型をベースとしてセンシング系・制御系を追加した
(出所:オーレック、九州大学)
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 既存の草刈機の効率的な使い方を自動運転に反映させるのも重要となる。例えば、刈り幅の外側に近い一定の範囲は、復路で重ねるように設定することで刈り残しを防いだり、刈刃の回転方向を考慮して、刈って粉砕した草が敷地外に向かって飛散しにくいようにするといったことである。

 動力については、現時点では同社のラジコン型の製品と同じように、エンジンとモーターの2種類を使っている。走行には電気で動かすモーターを使い、きめ細かく制御できる利点を生かす(関連コラム)。

 一方、雑草を刈るパワーを重視しており、刈刃の駆動にはエンジンを使う。多少強い雑草であっても粉砕できるような、草刈機そのもののタフさは維持する狙いがある。

 将来的に、バッテリーが小型・大容量化すれば刈刃の駆動も電気に代わり、完全に電動化する可能性があるとみている。

 これまでの開発で、雑草が伸びている場所での走行、障害物の回避、果樹園のように上に木がある状態での測位衛星の信号受信などは試験を終えている(動画図5)。今後は、雑草が旺盛に伸びる時期でもあることから、実際に自動運転で雑草を刈る試験を重ねていきたいとしている。

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動画・図5●試作機によるさまざまな検証の様子
動画・図5●試作機によるさまざまな検証の様子
(出所:オーレック、九州大学)
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 2023年度には、製品化済みのラジコン型草刈機が刈れる場所には対応できるような性能を持ち、農家などに使ってもらえる水準の試作機を完成させたいとしている。

 自動走行の草刈機が製品化された場合、懸念材料もあるという。人による操縦が不要になることで、草刈機のメンテナンスが疎かになるのでは、という心配である。

 人の心理として、いつもよく見ているものほど、その変化に敏感になる。この意識が薄れてしまうのではないか、という危惧である。

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