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「ロボットの自動除草」に最適設計したLIXILのメガソーラー(page 2)

パワコン周辺のエラー対策に、ワイヤー敷設の工夫と夜間の走行

2020/08/26 15:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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高台上の充電ステーションで浸水を防止

 国内各地の多くの太陽光発電所が雑草に悩まされる中、LIXILの各地の太陽光発電所でもこれまで、「砕石を敷き詰める」「防草シートと地表改質の併用」「スラグを敷き詰める」など、さまざまな手法による対策を試みてきた。それぞれ効果はあったものの、決め手となるような手法はなかった。

 このため、それぞれの発電所の状況に合わせて、「刈払機や乗用型機を使った草刈り」「除草剤」などを併用している。いずれも定期的な作業が必要になり、人手による作業が最小になる手法を模索してきた。その手法になりうると期待して、伊賀市の発電所では、「ロボット芝刈機」を採用した。

 採用したのは、スウェーデンの林業・農業・造園向け機器メーカーであるハスクバーナのロボット型「芝刈機」である。企業の一般的な事業所や住宅の庭などで広く使われている。

 無人で敷地内を自律的に動き回り、草を刈るという仕様で、太陽光発電所の除草対策として、理想的なものだ。

 米iRobotの室内用ロボット掃除機「ルンバ」による室内の清掃のように、自律的に草を刈りながら敷地内を動き回り、充電の残量が少なくなると充電ステーションまで戻る。満充電になると再び走行して草を刈り始める。このような手間いらずの除草を実現する(図2)。

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図2●ロボット芝刈機の概要
ワイヤーで設定した境界内を自律的に走りながら刈る。充電残量が減ると充電ステーションに戻ってくる(出所:ハスクバーナ・ゼノア)
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 伊賀市のメガソーラーは、事業所の敷地内にあり、ほぼ平坦である。現状のロボット除草機にとって、こうした地形は重要となっている。大きな傾斜や凹凸が多い土地への導入には制約がある。

 LIXILがこの機種を知ったのは、太陽光発電関連の展示会だった。日本法人のハスクバーナ・ゼノア(埼玉県川越市)が出展し、ロボット芝刈機を紹介していた。

 付き合いのあった西武造園(東京都豊島区)グループからも、太陽光発電所で安全に活用できそうだとの情報を得て、伊賀市の発電所での採用を想定して、他の工場内の太陽光発電所で試してみた。

 伊賀市の発電所におけるロボット芝刈機の導入も、西武造園グループが担った。子会社の西武緑化管理(埼玉県所沢市)が担当した。

 LIXILが他の太陽光発電所でハスクバーナのロボット芝刈機を試した結果、草刈りの効果、安全な運用とも、十分な水準であると確認でき、伊賀市の発電所での採用を決めた。また、広い芝のある他の工場にも、芝の管理用に導入した。今後、他の工場や太陽光発電所でも導入していく可能性があるという。

 こうして伊賀市のメガソーラーは、ハスクバーナのロボット芝刈機を導入する前提で設計した。

 この発電所では、アレイ(太陽光パネルの設置単位)を地上に固定する基礎には杭基礎、架台はLIXILのアルミニウム材による製品を採用している(図3)。

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図3●杭基礎の円盤はロボット芝刈機を挟まない高さに
(出所:日経BP)
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 杭基礎は、ロボット芝刈機の走行を妨げないように、円盤の部分を地上約40cmに上げて敷設した。ロボット芝刈機が地面と円盤の間に挟まってしまい、抜け出せなくなくことを防ぐためである。

 分散型PCSから集電箱、昇圧変圧器への電線は、地中に埋設した。これも地表の障害物が少なくなり、ロボット芝刈機の効果を高める狙いからだ。LIXILの太陽光発電所では元々、人手による除草作業時の安全性などを考慮して地中埋設を採用してきたが、ロボット芝刈機の活用でも利点となる。

 ロボット芝刈機の充電ステーションを置く場所には、土を盛りあげて高台のステージ状にし、そこに人工芝を敷いた(図4)。この工夫は、ロボット芝刈機を採用した他の発電所と比べても珍しい。

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図4●ステージ状の高台に充電ステーションを配置
悪天時にはここで待機する(出所:日経BP)
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 ステージのような高台を築いて、その上に充電ステーションを配置した理由は、雨水を避けるためである。地面に雨水がたまってぬかるんだときでも、ロボット芝刈機が待機する高台の充電ステーションは水に浸からない。

 万が一、この高さまで水が浸るようなことがあったとしても、人工芝を敷いているので、水はけは良い。設置したのは太陽光パネルの下なので、パネルが屋根代わりになって機体が濡れることも少ない。導入を前提に設計したメガソーラーならではの特徴といえる。

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