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「ロボットの自動除草」に最適設計したLIXILのメガソーラー(page 4)

パワコン周辺のエラー対策に、ワイヤー敷設の工夫と夜間の走行

2020/08/26 15:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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パワコンや電線付近の受信エラーを防ぐ

 ロボット除草機を太陽光発電所で使う場合、問題となるのが、PCSの周辺やPCSからの電線の周辺で、ロボットの走行に必要な信号を適切に受信できず、走行停止となる場合があることである。発電量が多い時などに、走行用の信号の送受信を妨げる何らかの現象が起きるようだ。こうした現象は、太陽光発電所に特有の事情といえる。

 これは、ロボット芝刈機を活用している多くの太陽光発電所で生じている。逆に言えば、太陽光発電所における活用で工夫のしどころとなっている。

 LIXILでも、他の太陽光発電所でテストした時から起きていた。やはり発電量が多い日時ほど、この現象が生じやすい傾向にある。

 ハスクバーナのロボット芝刈機は、充電ステーションを発着点として、設定した範囲の中をランダムに走って草や芝を刈っていく。この走行範囲は、ワイヤーを地面に張って囲んで設定する。このワイヤーが境界となる(図6)。

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図6●雑草の状況の違いで境界がひと目でわかる
フェンス際などには近づけず、人手で刈る(出所:日経BP)
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 ロボット芝刈機は、走行中にこのワイヤーから信号を受信して、走行区域の境界を把握している。信号は充電ステーションから発し、ワイヤーを通じてロボット芝刈機に届けている。

 発電量が多くなってくると、PCSや電線の近くでは、この信号を機体が適切に受信できなくなり、走行を停止してしまうようだ。

 伊賀市の発電所では、この対策としてまず、走行範囲の外周に位置するワイヤーを、通路の上に配置した。通路には、PCSや電線はない。

 このメガソーラーでは、小型のPCSを多数、設置している。アレイごとに架台に固定されている。南北方向にまっすぐ並ぶような配置となっている。これによって、その下の地中埋設の経路が2本と少なくでき、施工コストの削減につながっている。

 この小型PCSと地中埋設の電線は、ロボット芝刈機が走行する5つの区画のそれぞれにおいて、中央付近を南北方向に直線を描くように配置されている。

 ここでロボット芝刈機の信号の受信エラーが生じることを避けたい。そのためにワイヤーの敷設と機体の設定を工夫した(図7)。

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図7●PCSの周囲と地中埋設の場所もワイヤーで囲って受信の感度を上げる
(出所:上はLIXIL、そのほかは日経BP)
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 ワイヤーは、走行範囲の外周を囲うだけでなく、PCSと地中埋設の電線も、真ん中の1カ所を除いて囲うように敷設した。走行範囲の外周を囲いつつ、途中でPCSと地中埋設の電線のある場所を囲って、また外周に戻るように一筆書きで敷いた。

 地中埋設の経路のうち、真ん中だけは囲わずに開けてある。これによって、どの区画も、左右の2つの島があり、2つの島は真ん中だけつながって通れるような形状となっている。

 ロボット芝刈機は、ワイヤーに近づくほど信号の受信感度が高くなる。この仕様を生かして、PCSと電線の近くにワイヤーを敷設することで、この付近での受信エラーを減らすことを狙った。

 地中埋設した場所の上に走行範囲の境界を設定すると、ロボット芝刈機が走らなくなり、雑草を刈り残してしまう場所が生じかねない。

 それを防ぐために、地中埋設した場所の上では、ワイヤーを15cm開けて敷設した(図7の下)。ロボット芝刈機は、ワイヤーに対して10cm外まではみ出して走行する設定となっているため、それぞれ10cmはみ出して走って刈ることで、2本のワイヤー間の15cmの隙間も問題なく刈ることができる。

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