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「ロボットの自動除草」に最適設計したLIXILのメガソーラー(page 5)

パワコン周辺のエラー対策に、ワイヤー敷設の工夫と夜間の走行

2020/08/26 15:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 1台当たりの走行範囲が広いため、充電ステーションに戻るときには、できるだけ最短距離で戻したい。このために、補助線となるガイド役のワイヤーも敷設した。

 充電残量が少なくなって充電ステーションに戻るときに、このガイド役のワイヤー付近を通ると、ランダムに走行することを止めて、幅1mの範囲でガイド役のワイヤーに沿うようにまっすぐに充電ステーションに戻るように設定している(図8)。

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図8●ガイド役のワイヤー(上の点線)
(出所:上はLIXIL、下は日経BP)
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動画●充電ステーションにまっすぐ戻るロボット芝刈機

(出所:日経BP)

 このガイド役のワイヤーは、アレイ間に敷設しているので、ロボット芝刈機は、杭基礎にぶつかって不要な方向転換などをすることがなく充電ステーションに戻る。

 充電ステーションは、高台のステージ状の場所の上にある。ガイド役のワイヤーに沿えば、まっすぐに充電ステーションに戻れるが、充電ステーションの後ろ方向を走っている時に戻り始めてしまうと、後ろから高台を登って向こう側に下り、また戻ってくるといったロスの多い走行で、その間に充電量が尽きて止まってしまう恐れがある。

 こうした後ろ側からの無駄な走行をなくすために、PCSと地中埋設の場所と同じように走行範囲の境界となるワイヤーの敷設を工夫した。高台のステージのうち、充電ステーションの後ろ側の場所をすべてワイヤーで囲んで、走行しない場所にした。

 しかし、これだけで後ろ側から充電ステーションに戻ろうとする動きは防げない。充電ステーションからはパルス信号も発しているためである。

 充電ステーションの後ろ側でこのパルス信号を受信して戻る走行を開始すると、ロボット芝刈機は後ろ側から戻ろうと走行しつつも、ステージの後ろ側にある走行範囲の境界のワイヤーでそこが走行範囲でないことを検知し、向かっては戻ることを繰り返して右往左往することになる。

 そこで、充電ステーションが発するパルス信号の範囲を、最短の1mに狭めるように設定した。これによって、後ろから充電ステーションに戻る動きをなくした。

 走行範囲の外周、PCSと地中埋設の場所、ステージの後部は、すべて1本のワイヤーを一筆書きで敷設した。しかし、外周からPCSと地中埋設、ステージの後部にそれぞれ入り込みはじめる場所に走ってきたロボット芝刈機は、必ずそのままワイヤーに沿ってPCSと地中埋設などに向かって走るのかというと、そのようにはならない。ここにも工夫がある。

 この「外周から入り込み始める場所」では、ワイヤー2本を、間隔を開けずに地面に敷設している(図9)。PCSに近づいた場所ではじめて2本が分かれるように広がる。ワイヤーは、1本だけ単独で敷設されている時には走行範囲の境界として機能するが、2本を間隔を開けずに敷設した時には、ロボット芝刈機が信号を相殺して境界と認識せず、そのまま上を走り抜ける。この機能を活用して、PCSや地中埋設、ステージ付近ばかりを集中して走ることを防いでいる。

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図9●間隔を開けずに2本敷設した場所は、そのまま走り抜ける
(出所:上はハスクバーナ・ゼノア、下は日経BP)
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