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太陽光パネルの下、40度の急斜面も除草できるラジコン型草刈機(page 2)

100万円を切る価格で、乗用型の市場も狙う

2019/09/18 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 「農機メーカーが直面している経営課題」とは、主力の稲作用の農機の国内市場が縮小傾向にあることである。これまでの農機市場を牽引してきた稲作用の台数が減る一方で、ロボット化などを進めた他の高付加価値な農機が拡大しつつある。

 高付加価値機は、単価は高いものの、販売台数は従来の稲作用ほど多くない。このため、農機メーカーの事業規模を維持・拡大していくためには、高付加価値機を、農業以外の分野にも展開し、稲作用の縮小分を補えるような事業に拡大できることが理想である。今回のラジコン型草刈機では、そのような展開の端緒となることを期待している。

 販売先として、これまでの農家だけでなく、土木や建築、造園、緑地管理、リース、太陽光発電所など、草刈りで課題を抱えている幅広い分野に広げていく方針だ。

 斜面の草刈り作業の効率化は、農業でも大きな課題となっている。国内の農地のうち約4割は、中山間地と呼ばれる、平野と山地の間に分類される場所に立地している。ここには、斜面が多く、草刈り作業の効率化は遅れている。

 農業では、当然ながら、農作物そのものの生産性の向上に直結する作業から、機械化や効率化が進んできた。トラクター、田植え機、コンバインなどに代表される農機によって、この約50年間でこれらに要する作業時間は、約8割も削減されたという。

 一方、水の管理や草刈りなど、農作物の生産性向上そのものには直結しない作業に関しては、省力化や効率化が遅れている。同じ期間で作業時間は約45%しか減っていないという。この農業全体の大きな課題の解消に、ラジコン型草刈機が寄与できるとしている。

 実際に、今回のラジコン型草刈機を使っている農家は、草刈りに要していた作業の延べ日数が減っているという。

 農家が草刈りをするのは、一般的に朝一番と日没時に1時間ずつ、合計2時間となっている。この2時間の作業時の身体的な負担が減ったことから、農作業を中断している昼にも、草刈りできるようになり、草刈り作業の延べ日数が減ったようだ。

 現在の販路は、これまでと同じように、農機の販社やJA(農協)が中心となっている。他分野の企業は、農機の販路と接点がない場合が多く、拡販していくためには、どのように販路を広げていくかが重要になりそうである。

 3月に発売を開始して以降、はっきりと太陽光発電所向けと判明している販売例は、発電事業者やO&M(運用・保守)関連事業者が、みずから情報を収集し、購入を打診してきたものという。北海道、福島、岡山の事業者で、岡山の販売先は、同県内で約30カ所の発電所を運営している事業者だった。

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