ドローン(無人小型飛行体)を応用した太陽光パネルの点検サービスは、いち早く市場が立ち上がった。その後も進歩が続いている。
ドローンを活用する利点は、まず撮影の作業自体を効率化できることだった。その後、進みつつあるのは、ドローンを飛ばした後の作業効率の向上である。
ドローンを飛ばして、赤外線カメラで太陽光パネルの熱分布画像を空撮するまでの前工程と、取得した画像を分析して報告する後工程にわけると、すでに効率化が進んでいるのは、空撮するまでの前工程だった(図1)。
太陽光パネルの熱分布画像を得る前工程では、敷地が広いメガソーラー(大規模太陽光発電所)において、携帯型の赤外線カメラを持って歩き回り、膨大な数の太陽光パネルの熱分布の画像を確認して不具合箇所を見つけていく作業は、作業者の身体的な負担が大きい。作業時間も長く、コストがかかる。
ここでは、歩行による撮影から空撮に変わっただけでも効率的になっている。さらに、ドローンの操作や空撮作業のほとんどを自動化する動きもある。
一方、取得した熱分布画像を分析・解析する後工程は、効率化の余地が大きく残っている。熱分布画像の分析・解析プロセスを人手に頼っているサービスがほとんどで、時間や手間、コストを多く要する状況にある。
上空から一定範囲の太陽光パネルを写した熱分布画像は、どの場所でも同じように見える。それらの画像が敷地内のパネル配置図のどこに該当し、異常のある場合、どのような状況によって生じたのかという報告は、一般的なサービスメニューとなっている。
このレポートによって、太陽光パネルの状態がデジタル化されているが、そこに至るまでの分析・解析・推測する作業は、人海戦術的なものとなっている。
例えば、出力約2MWの発電所の場合、多くのサービス事業者が、この作業だけで1週間程度を要しているとされる。
このような中、オリックスグループのオリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント(東京都江東区)は、この後工程も含めた自動化に成功しており、このサービスをグループ外の太陽光発電所にも提供していく。
熱分布画像ごとの配置図内での位置の特定や、熱分布の異常を引き起こしている現象の分類、その現象への対応の緊急度まで自動で解析できる。こうした自動化を実用化できている企業は限られる。
同社の場合、実際には、自動分析後の確認作業は人手によっているが、基本的にはほぼ自動化できているようだ。
同社は、2018年に設立されて以降、オリックスグループが運営している太陽光発電所のアセットマネジメントやO&M(運用・保守)を担当している。