同社によると、電動の利点は、いくつかある。まず、誰でも扱いやすい。エンジンを搭載した場合、その運用には、一定の知見が必要になる。
また、機械の高さを低くできるため、草刈機の場合、太陽光パネル低部の下を走行できる機種を設計しやすくなる。運用面では、相対的に傾斜に強くなる。エンジンに比べ、ガソリンを送り込む機構などの制約が少ないからである。
アタッチメント方式も、電動の良さを生かしたものである。エンジンの場合、用途が変われば、ギアの組み替えなど、複数の変更や調整が必要になる。電動なら、モーターの仕様さえ合えば、何も変更せずに転用できる。
こうしたアタッチメントを付け替えて多機能化した最初の例が、基礎やフェンスの「際刈り」となった。
このほか、太陽光パネルの下から伸びてきた雑木や竹を刈れる「竹刈りアタッチ」も試作済みである。今後、太陽光発電所などでテストを重ね、実用化したいとしている。
製品化した「際刈りアタッチ」は、太陽光発電所だけでなく、果樹園などの課題も解決できる。果樹園では、樹木の病気を防ぐため、幹の際まで雑草を刈ることが重要という。しかし、乗用型では、際まで刈れないので、後から手刈りしている。
果樹の脇を、草刈機で刈る場合、果樹を痛めるリスクがある。機械や刃との接触が、どの程度まで寛容されるのかは、木によって異なる。例えば、リンゴやブドウ、他の品種でも、幼木の段階では、最もダメージが大きいという。
「際刈りアタッチ」の回転刃には、ナイロン刃を使い、カバーに収まるように設計されている(図2)。このため、通常は刃が樹木に当たることはない。カバーが樹木に触れると、回転刃ユニットの根元についているバネが機能し、樹木に反発するように回避する仕組みとなっている。
回転刃は、刈払機でも使われている一般的なものを使う。手動切り出し方式と呼ばれるナイロン刃である。ホームセンターなどでも販売されているが、信頼性や安全性を維持するために、同社が推奨している製品を使って欲しいという。
推奨している回転刃の製品とは、例えば、ナイロン刃をまとめ、かつ、回転に追随させる役割を担う中央部の留め具は、金属でできている。
一般的に販売されているナイロン刃の場合、この留め具もナイロン製が多い。ナイロンの留め具の場合、際刈りアタッチで使うと、地面や構造物に通常よりも接近して回転し続けるために、熱で損傷する恐れがあり、金属の留め具を推奨しているという。