特集

「地域活用電源」の先駆者・稚内メガソーラー

ブラックアウト時に隣接施設に自営線で電力供給

2020/03/06 15:30
金子 憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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 経済産業省は、固定価格買取制度(FIT)の見直しによって、新たに「地域活用電源」という区分を創設する。災害などで商用系統が停電した際にも、自立して発電し、地域に電力を供給できることなどを要件とし、引き続きFITの仕組みで支援していく方針だ。

 低圧事業用太陽光に関しては、この要件を「30%以上の自家消費と停電時の自立運転」とし、2020年度の認定から適用する。高圧や特別高圧太陽光の「地域活用要件」に関しては、今後、議論が始まる。今回の特集では、これまでの経済産業省の有識者会議などの場で、「地域活用電源」の例として、評価されているサイトを紹介する。

ブラックアウト時に電力供給

 2018年9月6日早朝に発生した北海道胆振東部地震では、震源に近かった北海道電力の苫東厚真火力発電所が破損して3基の発電機のうち2基が停止。それを引き金に道内全体が停電となり、2日間にわたり、電力系統全体が止まる「ブラックアウト」に陥った。

 これにより、道内に稼働していたメガソーラー(大規模太陽光発電所)や風力発電設備は、電力系統から解列して停止した。

 FITで急増した再生可能エネルギー設備は、送電線に接続し、全量売電を基本に設計されているため、地域にある「分散電源」といっても、商用系統が止まるとその周辺地域に電気を供給できない。一般的な高圧連系用パワーコンディショナー(PCS)は、系統周波数に合わせて制御して送電するので、自立して交流電流を送れない。

 そのため、北海道の各地で、地震によるブラックアウトのなか、「地域に多くのメガソーラーや風力を誘致し、その建設に協力してきたのに、停電したらまったく電気を使えないのか」との声が相次いだ。

 こうしたなかで、稚内市に稼働する出力約5MWの「稚内メガソーラー発電所」は、ブラックアウトの最中にも、隣接する「稚内市大沼球場」と「道立宗谷ふれあい公園」に電力を供給していた。9月6日、地震発生後、午前3時8分に同発電所も北海道電力の系統から解列したが、その後も、両施設への電力供給を続けた(図1)。

図1●「稚内メガソーラー発電所」の全景
(出所:稚内市)
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 こうした実績は、地震後のブラックアウトまでの経過などを検証した経産省の審議会でも、取り上げられ、メガソーラーの地域活用で大きな可能性を示した。

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