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発電と農業に障害者雇用、三方一両得の「農福連携太陽光」

「全量売電」可能な低圧営農型太陽光で新たなスキーム

2021/03/11 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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障害者に絶好の職場

 埼玉県日高市にある、栗の実福祉会・むさしの日高作業所は、現在46人の障害者が利用し、企業から受託した作業などに従事している。集団での作業を通じて他者との関わり方など生活訓練を行う障害者が36人、企業への就職を目指してビジネスマナーなどを身に付けている障害者が7人に在籍し、屋内外で様々な作業に取り組んでいる。

 同会は福祉作業所としては比較的、多くの障害者がおり、雑誌付録のセッティングやシール貼り、リサイクル向け素材分別などの軽作業、福祉会で営む畑での農作業などに従事している。「人数が多い分だけ、やりがいがあって工賃のよい仕事をたくさん見つけなくてはならないが、それは簡単でない」。副施設長の成田春治さんは、仕事探しの苦労を打ち明ける(図1)(図2)。

図1●サツマイモ畑で除草作業に携わる障害者
(出所:栗の実福祉会)
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図2●農業用マルチシートの引きはがし作業を行う障害者
(出所:栗の実福祉会)
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 こうしたなか、成田さんが期待しているのが、営農型太陽光発電所(ソーラーシェアリング)における太陽光パネル下での農作業だ。現在、日高市内でサカキ栽培による営農型太陽光発電所の計画が進んでおり、栗の実福祉会が農作業を受託することになっている。「営農型太陽光によるサカキ栽培は、それほどの重労働ではないうえ、パネルが日除けになって比較的、良好な環境で作業できる。障害者にとって絶好の職場になる」と言う。

 営農型太陽光発電所とは、農地転用(農地全体の地目変更)せずに、杭基礎部分だけを一時転用して、農地の上に太陽光パネルを設置して、その下では、農業を営むというもの。

 日高市内でサカキ栽培による営農型太陽光を計画しているのは、太陽光発電の販売・施工・保守を展開しているエコスマイル(名古屋市)だ。

 同社は、これまで土地付きの低圧事業用太陽光発電所の開発・販売で実績がある。今後は、農地所有適格法人とも連携し、営農型の低圧事業用太陽光を開発し、投資家などに販売することを目指している。加えて、営農者の不足などに対応し、営農型太陽光の農作業を福祉作業所に委託する計画を進めている。栗の実福祉会・むさしの日高作業所もその1つで、エコスマイルでは、こうした仕組みを「農福連携による営農型太陽光」と呼んでいる(図3)。

図3●サカキ栽培による営農型太陽光発電所の例
(出所:エコスマイル)
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