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「太陽光+EV」でエネルギー地産地消、出光が宮崎・国富町で実証(page 3)

設備提供から設計・施工、発電、サービスまで一貫体制を狙う

2021/02/24 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 国富町役場では、非常時の電力供給、いわゆるレジリエンスの向上にも活用する。太陽光や蓄電池、EVからの放電を役場内の災害対策本部などに優先的に供給する。

 具体的には、(1)公用EVの予約情報と走行データを活用したEVの稼働状況予測に基づく充放電の最適化、(2)太陽光、蓄電池、EVという分散型電源の特性を踏まえた複合制御による電力のピークカット、(3)停電時の電力供給を考慮した蓄電池とEVの充電残量制御、などである。

 この(1)に関して、スマートドライブのシステムが大きく寄与する。EVの稼働状態の予測精度を高め、最適な充放電の計画を作成できるとしている(図3)。

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図3●EVの稼働状態の予測精度を高め、最適な充放電の計画を作成できる
「SmartDrive Fleet」、「Mobility Data Platform」の表示例など(出所:スマートドライブ)

 庁舎の消費電力はピーク時で約100kWとなっている。その一部を太陽光の自家消費で賄う。主に夕方に来る電力系統全体の需要ピークを抑える形で使う。太陽光が少ない時には、蓄電池とEVから庁舎に放電する。

 太陽光の余剰電力を、蓄電池とEVのどちらに優先的に貯めるのかは、検討中という。EVの日中の移動状況が大きく左右する条件となりそうだ。

 今後の事業化に向けて、技術面では、太陽光の予測精度がカギになるという。事業面では、固定価格買取制度(FIT)に頼らない太陽光発電システムの利点を、いかに打ち出せるかが肝になる。

 すでに九州では頻繁に出力制御指令が出されており、出力抑制時に太陽光の電力を蓄電池に貯めて、系統の電力消費のピーク時に放電すれば、電力系統の安定化や系統側の予備電力などのコスト削減につながり、利点が大きい。

 今後、九州以外でも太陽光に対する出力抑制が想定されていることからも、こうした太陽光と蓄電池、EVを最適に制御する取り組みは欠かせない。出光興産のようなエネルギー大手が取り組む意義は大きい。

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