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いま使える「再エネ+蓄電池」の控除・補助:その1

レジリエンスと再エネ比率の向上を狙う環境省

2021/04/08 18:45
金子 憲治、加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入量をより増やすためには、蓄電池システムとの併用が欠かせない。政権交代を機に加速しつつある日本の脱炭素政策の中でも、蓄電システムと組み合わせた活用法を支援しようという姿勢が明確になっている。今回は、2021年度の今、活用できる税の控除や、環境省による補助制度をまとめた。

 まず、税制では、菅政権が掲げている「2050年カーボンニュートラル」の実現に寄与する、一定の要件を満たす省エネ・脱炭素化関連設備の導入に要した投資について、税額控除や特別償却できる措置が新たに設けられた。

 企業が2024年3月31日までに取得した「中長期環境適応生産性向上設備」などに対して、その設備投資額(500億円を限度)に対して、特別償却の場合は50%、税額控除の場合は5%(温室効果ガスの削減に著しく資するものについては10%)という措置を選んで適用できる。

 「中長期環境適応生産性向上設備」とは、事業所単位で炭素排出量当たりの付加価値総額(経済活動炭素生産性)の目標が、「3年以内に7%または10%以上向上」という条件を満たす計画を支える設備を指す。

 控除額は、「デジタルトランスフォーメーション投資促進税制」による控除との合計で法人税額の20%が上限となる。

 太陽光発電と蓄電池システムの導入で大きいのは、中小企業を対象とした優遇税制が、2年間の期間で再延長されたことである。資本金1億円以下の企業と個人事業主が対象となる。

 該当する税制は、「中小企業経営強化税制」と、「中小企業投資促進税制」である(図1)。

図1●中小企業向けの税制優遇が延長
(出所:船井総合研究所)
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 このうち中小企業経営強化税制は、自家消費を想定したシステムが対象で(自家消費比率50%以上)、投資額の100%を即時償却、または7%の税額控除を選択できる。

 もう一方の中小企業投資促進税制は、余剰売電を想定しているが、自家消費の比率は定められておらず、より広く活用できる。ただし、特別償却が認められるのは投資額の30%に限られる。税額控除を選んだ場合の7%は同じである。

 いずれも、太陽光発電システム、蓄電池システムが対象になる。省エネ関連設備も含めることができる。

 ただし、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けてから、設備を取得するプロセスを踏まなければならない。企業向けの設備導入支援制度に詳しい船井総合研究所 ものづくり・エネルギー支援部の青柳圭祐チームリーダーによると、この前段階となる証明の取得も含めて、2~4カ月程度を要するという。

 住宅への太陽光と蓄電池の併設は、それによる電気代削減効果で投資回収が可能になる「ストレージパリティ」に近づいている。しかし、電気代の安い業務用、産業用の需要家では、まだ、ストレージパリティの段階にはなく、政府による支援制度をうまく活用することが得策といえる。

 実際、これまでにも、助成制度を活用することで、太陽光と蓄電池を併設し、レジリエンスに加えて、経済性を確保してきた導入事例がある(関連記事1:滋賀県米原市にある工場の例、同記事2:福島県楢葉町にある工場の例)。

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