再エネ蓄電池プロジェクト最前線

いま使える「再エネ+蓄電池」の控除・補助:その2

太陽光・風力の大量導入へ、大型蓄電池で需給バランス調整

2021/04/22 11:34
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 太陽光や風力発電などの変動性の再生可能エネルギーの導入量をより増やすため、蓄電池システムの重要性が高まっている。政権交代を機に加速しつつある日本の脱炭素政策の中でも、蓄電池システムと組み合わせた活用法を支援しようという姿勢が明確になっている。今回は、2021年度の今、活用できる、環境省による補助制度の続きと経済産業省の補助制度をまとめた。

 まず、前回に続き、環境省による補助制度を紹介する。

 「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」は、感染症対策を推進しつつ、災害・停電時にも避難施設などへのエネルギー供給が可能な再エネなどの導入を支援するもので、今年度の予算は50億円、前年度3次補正予算が55億円となっている(図1)。

図1●初期費用がかからないモデルによる導入を促進する
「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」(出所:環境省)
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 前回、紹介した、災害発生時に活動拠点となる公共施設を主な対象とする「レジリエンス強化型ZEB実証事業」に近い部分もある。

 災害時の避難施設などとして位置付けられた公共施設に、再エネ発電・蓄電池システム、コージェネレーション(熱電併給)システムなどの設備の導入を支援し、平時は温室効果ガスの排出を抑制し、災害時にもエネルギー供給などの機能を発揮する。

 初期費用のかからない仕組みで導入すると優先採択される。補助率は、都道府県・政令市・指定都市は3分の1、市区町村の太陽光発電とコージェネは2分の1、離島は3分の2となっている。実施期間は今年度~2026年度である。

 同じように、地域と再エネ、レジリエンスがキーワードになる「グリーン社会の実現のためのオンサイトPPA等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」もある(図2)。これは前年度の3次補正予算で実施され、予算規模は80億円となっている。

図2●自家消費の太陽光発電と蓄電池システムで地域調整力の確保を目指す
「グリーン社会の実現のためのオンサイトPPA等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」(出所:環境省)
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 オンサイト型PPA(電力購入契約)モデルなどによる自家消費型の太陽光発電設備と、電気自動車(EV)を含む蓄電池システムを導入し、地域調整力の確保などを目指す取り組みを支援する。

 これも、前回、紹介した、「PPA活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」と共通する。

 離島での活用も想定しており、離島において、再エネ発電や需要側の設備を群単位で管理・制御することで調整力を強化し、島全体で電力供給量に占める再エネの割合を高める取り組みを支援する。

 太陽光発電設備は4~5万円/kW、蓄電池は2万円/kWhまたは6万円/kW、工事費の一部などを補助する。

 すでに離島では、大型蓄電池を導入したり、EVを活用して再エネの出力変動を緩和させるプロジェクトがあり、技術的な成果を上げている(関連記事1:徳之島の「蓄電池併設メガソーラー」、同記事2:壱岐の「太陽光+水素貯蔵システム」)。こうした流れを受け、より事業性の高い取り組みを支援する。

 東日本大震災関連の「脱炭素×復興まちづくり推進事業」もある(図3)。福島での「脱炭素社会」の実現と福島の「復興まちづくり」の両方の着実な実現を支援するもので、今年度から始まり、予算は5億円となっている。

図3●福島における自立分散型エネルギーの導入を支援
「脱炭素×復興まちづくり推進事業」(出所:環境省)
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 福島県が策定した「再生可能エネルギー推進ビジョン」や自治体などが宣言する「ゼロカーボンシティ」で示された方針に沿って、これらの実現に向けた計画策定と、その計画に位置づけられた自立・分散型エネルギーシステムの導入を支援する。導入などの補助がある。

 EVと組み合わせた「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」も、前年度の3次補正予算の80億円で実施される(図4)。

図4●EVの活用でも再エネ発電と蓄電池の併設を重点的に支援
「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」(出所:環境省)
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 EVや燃料電自動車(FCV)とともに、再エネ発電や充放電設備である蓄電池システムをセットで導入する取り組みを支援する。

 「離島における再エネ主力化・レジリエンス強化実証事業」は、防衛省と連携して実施する新規の補助事業で、今年度の予算は3億5000万円となっている。4年間実施する。

 再エネ・省エネ・蓄エネなどを活用し、環境の厳しい離島においても構築可能なレジリエンスなシステムを実証する(図5)。

図5●再エネ発電と蓄電池などによる電力網を構築
「離島における再エネ主力化・レジリエンス強化実証事業」(出所:環境省)
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 次に、経済産業省による補助事業を紹介する。

 「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業」は、今年度から始まる新規の補助事業で、今年度の予算額は45億2000万円となっている(図6)。

図6●蓄電池による逆潮流にも取り組む
「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業」(出所:経済産業省)
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 再エネ発電電力を最大限に活用するため、卸電力市場価格に合わせ、EVの充電時間を調整するなどのダイナミックプライシングによる充電シフト実証や、蓄電池からの逆潮流・周波数調整機能など、多数の分散型電源を束ねて正確に制御する技術などを実証し、分散型電源を活用した効率的な電力システムの構築と、再エネの導入拡大に貢献するとしている。

 3年間の事業とし、今年度は、料金メニューの開発や電動車への充電時期のシフトに向けた実証対象の拡大、再エネと蓄電池などの分散型電源を組み合わせた需給バランス制御技術の構築などを実施する。

 「地域共生型再生可能エネルギー等普及促進事業」は、今年度の予算額は34億7000万円となっている(図7)。

図7●地域のマイクログリッドを支援
「地域共生型再生可能エネルギー等普及促進事業」(出所:経済産業省)
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 来年度まで12件程度の先例モデルを構築し、地域のマイクログリッドの制度化や自立的拡大を目指す。また、再エネ発電と地域共生を関連させた取り組みの全国的な定着を目指す補助事業と位置付けている。

 地域における再エネの活用は、地域振興や非常時の電源確保に効果的な一方、系統に連系して託送するシステムでは、自営線を敷設する場合に比べて相対的に工事規模が小さいなどの利点がある。

 ただ、実例がないことに伴う収益面などのリスクが不透明なことが課題になっており、地域マイクログリッドの先例モデルの構築による自立的な普及を後押しする。

 地域にある再エネを活用し、平常時は下位系統の潮流を把握し、災害などによる大規模停電時には自立して電力を供給できる地域マイクログリッドを構築する民間企業など(地方公共団体との共同申請)に対し、構築に必要な費用の3分の2以内を補助する。

 北海道では、短周期変動への対応から、太陽光や風力発電に大型蓄電池を併設するケースが増えている(関連記事3:白老町のサーキット場跡)。

 こうした中には、非常時に商用系統を使って託送して、地域に電力を供給することを目指す動きが出てきている(関連記事4:松前町のマイクログリッド)。 

 このほか、都道府県や市町村による独自の補助金制度も増えてきている。