特集

「着床してもOK」、土木の知見で開発された異色の水上太陽光フロート(page 2)

安全性を徹底、コストを上げても防火対策を強化

2020/04/22 06:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

発泡スチロール土木工法が発想の元に

 環境資源開発コンサルタントのフロート架台は、既存のフロートに多い、1個の樹脂部材に1枚の太陽光パネルを固定するタイプとは大きく異なる。

 フロートは島のように広く、その上に地上設置型と同じような頑強な架台で、1個のフロート当たり10枚以上の太陽光パネルを固定している。まるで地上設置型の固定環境を、そのまま水上に持ち込んでいるようなイメージである(図3)。

クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
図3●最大で11枚の太陽光パネルを浮かべる
上は3列で11枚を浮かべた「穴沢池」、そのほかは2列で10枚を浮かべた「野田池」(出所:日経BP)

 広く頑丈なフロートなので、太陽光パネルの固定には地上設置型と同じような架台を使う。この架台には鋼材を使っている。1個のフロートの寸法は5m四方で、ここに2列や3列にわけて太陽光パネルを並べ、1個のフロートに最大11枚のパネルを浮かべる。

 重量は450kgで、浮力は4tある。比較的重いタイプの太陽光パネルを11枚に乗せた状態でも、800kgを超えることはなく、浮力への負荷としては2割以下にとどまり、8割以上の余力を残すという十分な余裕を見た設計としている。

 台風時の強風で転覆や損傷などの被災を受ける水上太陽光発電所がある中、同社製フロートを採用した水上案件では、こうした被災は経験しておらず、安全性を重視した設計が奏功していると強調している。

 こうしたまったく異なる設計のフロートは、環境資源開発コンサルタントを創業した金城義栄代表取締役の発想による。金城氏が長く経験を積んできた土木・建設分野の知見によるところが大きいとしている。

 まず、水上太陽光発電に注目したのは、大規模な造成や伐採を伴うようなタイプの地上設置型に対する疑問からだった。太陽光発電は化石資源や危険な物質を燃料に使わないことから、「環境にやさしい」と評されることが多い。

 しかし実際には、地上設置型で山林や斜面を大規模に造成や伐採することがある。金城氏は、こうした発電所は自然や地域環境への負荷が大きい側面があり、必ずしも「環境にやさしい」わけではないと考えている。「名実ともに環境にやさしい太陽光発電所の開発に寄与にしたい」と考え、造成や伐採が不要な水上型に着目した。

  • 記事ランキング