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「着床してもOK」、土木の知見で開発された異色の水上太陽光フロート(page 4)

安全性を徹底、コストを上げても防火対策を強化

2020/04/22 06:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 フロート同士は、両端のリングを使って緩やかに接続する「メガネ棒」と呼ばれる部材を使ってつなぐ(図5)。軟接合という手法で、水面の揺れや風でフロートが揺れても、リングの範囲で接合部が動くことができる。ボルトなどでガチガチに固めた剛接合よりもフロートの接合に向くという。

図5●「メガネ棒」で接続
(出所:日経BP)
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 この「メガネ棒」は、1本で約5tの負荷に耐えられ、隣りあうフロートを最大で6本使って接続する。「メガネ棒」に過剰な力がかかった時には、曲がって力を吸収する。一定以上に曲がった状態では、より大きな力を吸収できなくなるため、3カ月間隔など定期的に巡視して状態を確かめ、大きく曲がっていた場合には交換する。

 この交換も、リングを外して取り外し、新品を再び取り付けるだけで良く、フロートの上下からボルトで止めている手法に比べて簡単としている。

 フロートの係留も、独自の手法を採用している。開発案件ごとに係留もフロートと一体の設計を自社で手掛け、その池に合わせて配置を決める。

 アンカーは、門のような形の2本の杭に、斜めに伸びた突っ張り棒のような柱、少し離れた場所にもう1本の杭を備えるという、独特の構造となっている(図6)。

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図6●独自の係留法
(出所:上と下は環境資源開発コンサルタント、中は日経BP)
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 門のような形の2本の杭は、池底の支持層にねじ込む。この杭が池底で引き抜き抵抗力を働かせて係留の安定を保つ。斜めに伸びた突っ張り棒のような柱は、池底を押して支持力を働かせ、この両方の効果によって、アンカーが安定する工法としている。これを複合抵抗型と呼んでいる。

 既存の他のフロートの場合、1本の杭ごとの引き抜き抵抗力のみに頼った単一抵抗型と分類している。同社の複合抵抗型の抵抗性能は1つのアンカー当たり20tで、一般的な単一抵抗型の1つのアンカーに比べて5~10倍高いとしている。これによって、安全性だけでなく、相対的に打ち込むアンカーの数を減らすことができ、潜水工事による施工コストの低減に寄与するとしている。

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