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「着床してもOK」、土木の知見で開発された異色の水上太陽光フロート(page 5)

安全性を徹底、コストを上げても防火対策を強化

2020/04/22 06:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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自社で発電所の開発から手掛け実績を広げる

 こうした独特のフロートを使いこなせるEPC(設計・調達・施工)サービスは限られる。そこで、当初は技術的に信頼のおける積水ハウスのみを指定していた。

 現在はコストやリスクを考慮して、複数社に対象を広げている。経験を重ねてきたことで、自社のフロートを適切に施工できる企業を見極められるようになったという。

 当初は、環境資源開発コンサルタントが初期段階から自社で水上太陽光を開発していく手法が中心だったことも、信頼できるEPCサービス企業と開発を進めやすかった理由となっている。

 地上設置型に比べて、水上太陽光の開発では、水面を活用するため池の所有者や管理者との信頼関係がとくに重要になる。ため池は地域の農業に直結していることがほとんどのためである。そこで、自社でため池の所有者や管理者との水上利用権の許可から、経済産業省からの設備認定の取得、電力会社との連系協議、信頼できるEPC企業への委託まで開発の手続きや枠組みを固めたうえで、スポンサーとなる発電事業者に引き渡すという手順で進めてきた。

 この手法により、108カ所の案件について連系協議し、このうち20カ所が稼働済みとなっている。売電単価はほぼ40円/kWhで、2カ所が36円/kWhとなっている。

 こうした自社開発以外の案件を合わせた実績は、建設中を含んで37カ所・合計出力35MW、開発中(認定済み)が9カ所・7MWとなっている。

 「野田池」の案件のほか、兵庫県稲美町の「穴沢池」「琴池」、「長法池」、「溝ヶ沢池」、「内ヶ池」、同県加古川市の「1号池」と「2号池」、三重県伊賀市の「四十九新池」、岐阜県養老町の「細池」、愛知県日進市の「林池」などがある。

 水上太陽光発電所は、地上設置型に比べて積雪地域では難しいところがある。同社のフロートを採用した場合でも、似たような状況があり、積雪が60cm以上になる地域では事業化は難しいようだ。

 実績がある中での最北の地域は福島県楢葉町で、長野県上田市では積雪が理由で事業化を断念した案件がある。

 施工には、池の周囲に一定の広さの平地が要る。フロートを組み立てるためである。組み上がったフロートを池につり下ろすためのクレーン車が近づけることも施工の条件となる(図7)。

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図7●施工の様子
(出所:環境資源開発コンサルタント)

 1日当たりの作業性は、フロート24個分、太陽光パネル300枚程度としている。フロートの部材をそれぞれ組み立て、その上に固定した架台に太陽光パネルを取り付ける。その後、クレーンで水上につり下ろす。

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