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蓄電池によるピークカットで経済性、将来は太陽光と連係制御(page 7)

米原市で太陽光と蓄電池を導入した三友エレクトリック

2020/04/07 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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FIT終了後は、太陽光と蓄電池で自家消費

 三友エレクトリックでは、先行して導入した太陽光は、経済性を重視して固定価格買取制度(FIT)を活用し、現在は関西電力の高圧配電線に連系し、全量売電している。

 だが、買取期間が終わった20年後に電力会社と契約できる買取価格が購入価格のより低ければ、自家消費の方が経済的に有利になる。同社では「その際には、蓄電池に充電して自家消費率を高めることも検討する」としている。

 一般的に中堅企業の場合、電力料金は15円/kWhを超えるなど、価格競争が進んだ大手企業の大工場向け料金に比べると割高になっている。減価償却の済んだ太陽光発電設備を自家消費する利点は大きい。

 現在、350kWの太陽光発電設備で導入しているPCSは、6.6kⅤの系統連系が前提で自立運転機能はないが、FIT終了後は、工場の6.6kⅤの構内系統に連系し、余剰分を蓄電池に貯められる。蓄電池用の双方向型PCSは、商用系統の停電時を想定した自立運転機能があるので、太陽光の電力を貯めておき、非常時に活用することも可能になるとみている(図11)(図12)。

図11●三友エレクトリックの現状の蓄電池システム構成
(出所:三友エレクトリック)
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図12●三友エレクトリックの将来(非常時含む)の蓄電池システム構成
(出所:三友エレクトリック)
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 今回、導入した200kWhの「TMBCS」は、500kWのPCSを搭載しているため、太陽光を自家消費に転換し、蓄電池を巡る事業環境が整えば、増設することも想定しているという。

 また、今後、電力システム改革の進展で、「蓄電池アグリゲータ」や「VPP(仮想発電所)」などのサービス事業者が登場すれば、蓄電池を貸すことで、さらに事業性を高めることも可能になる。

 三友エレクトリックの需給状況では、空調需要と電源試験が重なる場合などに需要ピークとなるため、夏場と冬場はリアルタイムでデマンド監視し、蓄電池を充放電制御している。一方、空調負荷の少ない春と秋は、蓄電池を使用しない運用を基本とし、充放電回数を増やさずに電池セルの劣化を抑制しているという。

 逆に言えば、春と秋は、蓄電池が「遊んでいる」ことになる。将来、この時期に、アグリゲータやVPP事業者に、蓄電池の充放電機能を貸せば、稼働率が増して投資回収が早められる。三友エレクトリックでは、こうした太陽光と蓄電池を複雑に連係制御する将来システムも睨み、ノウハウを蓄積していきたいという。

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