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20MWのメガソーラーを「自家消費」、浪江町で水素製造(page 2)

水電解による「需給調整力」のビジネスモデルも検証

2020/05/12 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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20MWを全量「自家消費型」

 両メガソーラーのほか、海沿いの旧避難指示解除準備区域にある棚塩産業団地内に太陽光パネル出力20MWのメガソーラーが今年2月末に完成した。こちらは「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」の一部で、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業の4者で運営される(図3)。

図3●海岸に近い「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」のメガソーラー
(出所:東芝)
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 これら3つのメガソーラーは、いずれも復興事業として建設されたが、そのシステムは大きく異なる。内陸の2サイトが、FITで全量売電する一般的なメガソーラー事業なのに対し、FH2Rの太陽光発電設備は、FITを利用せず、発電した電力の全量を併設した水素製造装置の実証プロジェクトで使う。つまり、商用系統に連系しない完全自家消費型になる。

 全量自家消費型の再生可能エネルギーとしては国内最大、世界的に見ても、最大級のメガソーラーになると見られる。

 FH2Rの敷地面積は18万m2で、20MWのメガソーラーのほか、最大消費電力10MWの水素製造装置と水素貯蔵・供給設備、そして、管理棟からなる。太陽光発電の電力で、水素を製造し、トレーラーに貯めて水素需要地に運搬する(図4)。

図4●水素製造施設とメガソーラー
(出所:東芝)
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 将来的には、福島県内に水素を供給する構想もあるが、まずは、東京オリンピックに関連して運用される燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス、選手村に導入する定置型燃料電池システムなど向けに水素を供給する。

 福島県の沿岸には火力発電所が林立し、東北地方のほか首都圏に向けた電力の供給地にもなっている。3つのメガソーラーもこうした役割を担い、首都圏に電気、そして「水素」という形で再生可能エネルギーを供給することになる。

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