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20MWのメガソーラーを「自家消費」、浪江町で水素製造(page 5)

水電解による「需給調整力」のビジネスモデルも検証

2020/05/12 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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DRで系統安定化に活用

 FH2Rは、2月末までに各設備が完成し、現在、それぞれの設備を連系した運用に取り組んでいる。今年7月から本格的な実証運用に移行する予定という。実証事業の総額は約200億円で実証期間は2016~2020年度。

 実証装置の核となる水素製造装置は旭化成製のアルカリ水電解方式で、入力電力は最大10MW、定格6MWになる。最大で毎時約2000Nm3(ノルマル立米:0℃・1気圧の状態時に換算した1m3のガス量)、定格運転時で毎時約1200Nm3の製造能力があり、これはFCV560台を充填できる水素量に相当する(図10)。

図10●水素製造装置は旭化成製のアルカリ水電解方式
(出所:旭化成)
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 水素製造装置の最大入力は10MWだが、補器類なども含めたFH2R施設の最大需要は約20MWになる。快晴でメガソーラーがフル稼働すれば、太陽光の電力だけで運用できる計算になる。ただ、実際には、メガソーラーからの出力は天候に左右される。またFH2Rには、太陽光の電力を貯めておく大型蓄電池はないため、電力が必要な水素製造量に足りない場合、東北電力の商用系統から供給を受ける。

 つまり、太陽光の自家消費電力と系統電力を組み合わせつつ水素を製造する。こうしたシステムの特性を生かし、実証運用では、系統運用者(東北電力)の要請に従って受電量を変動させるデマンドレスポンス(DR:需要応答)を行うことで、電力系統に対する調整力の提供サービスの可能性も探る。

 製造した水素は200気圧でトレーラー12台(2642Nm3/台)とカードル15台(265.8Nm3/台)に貯めておき、輸送する。トレーラー、カードルに充填しきれない場合に備え、水素ホルダー8本を併設しており、合計で5400Nm3を貯められるようになっている(図11)。

図11●水素ホルダー8本を装備
(出所:日経BP)
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