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1つで「3役」をこなす近鉄のテスラ製蓄電池

ピークカット、災害用、そしてVPP運用も

2020/05/20 05:00
金子 憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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米テスラ製蓄電池を採用

 近畿日本鉄道は、近畿・東海の2府・3県にまたがり、営業距離は500kmを超え、国内私鉄で最長の路線を運営する。東大阪市にある奈良線・東花園駅は、花園ラグビー場の最寄り駅として知られるが、同社の鉄道事業にとっても重要な設備がある。

 近鉄では、鉄道運営に必要な電力を「総合受電変電所」と呼ばれる電力設備で関西電力の系統と連系し、電力供給を受けている。そこから、線路の架線のほか、駅や信号、踏切、そしての関電と連系していない社内の変電所に送電している。

 東花園駅のすぐ近くにある東花園変電所は、この「総合受電変電所」の1つで、関西電力の77kV・特別高圧送電線から受電した後、22kVに降圧してから、電車の動力となる「電車線」、駅などに給電する配電線、そして、送電線で他の社内変電所に給電している(図1)。

図1●近鉄・東花園駅の構内
(出所:日経BP)
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 2019年4月、東花園変電所の敷地内に、冷蔵庫ほどの白い筐体がいくつも並んだ設備が運用を開始した。米テスラ製のリチウムイオン蓄電池システム「Powerpack(パワーパック)」で、フェンスに囲まれた敷地面積は282m2、そこに42台のパワーパックと変圧器、遮断機が配置されている。

 蓄電池システムは、1ユニットがパワーパック6台とパワーコンディショナー(PCS)1台で構成され、1ユニット・600kW仕様で7ユニットを設置している。合計出力4.2MW、容量7.098MWhに達する(図2)。

図2●東花園変電所に設置した大型蓄電池システム
(出所:日経BP)
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 導入した定置型蓄電池は、東花園変電所内の構内系統である22kVの特別高圧線に接続しており、PCSで直流に変換して充放電する。

 テスラは、米国で電気自動車(EV)のベンチャー企業として創業し、家庭用や産業用の定置型蓄電池システムのほか、建材一体型の太陽光パネルも商品化している。蓄電池では後発ながら、コスト競争力を武器に米国内外でシェアを伸ばしている(図3)。

図3●米テスラ製の蓄電池システムを採用した
(出所:日経BP)
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