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IHI、相馬市で「再エネ水素」からアンモニア製造(page 2)

メガソーラー電力を自営線供給、余剰分を水素と熱に

2020/06/09 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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「水素」は脱炭素の重要なパーツ

 IHIでは、水素を「エネルギーの脱炭素化を実現するための重要なパーツ」(IHI)と位置づけている。変動する再エネの電気を使いこなすための「エネルギー貯蔵媒体」としての役割のほか、「再エネの大量普及で今後、安価になる電気を、電気以外の様々な形で利用するPower to Xの重要な中間体にもなりえる」(IHI)と見ている。

 「Power to X」とは、再エネ電気による水分解で製造した水素を使い、ガス燃料や液体燃料のほか、樹脂材料などを製造していくコンセプト。IHIでは、化石資源を燃やした際に排出されるCO2を回収して再エネ水素と反応させることで、メタンなどの炭化水素や、樹脂材料の基礎になるオレフィン(不飽和炭化水素化合物)を作ることも有望と見ている(図4)(図5)。

図4●旭化成製のアルカリ型水電解装置
図4●旭化成製のアルカリ型水電解装置
(出所:日経BP)
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図5●日立造船製のPEM型水電解装置
図5●日立造船製のPEM型水電解装置
(出所:日経BP)
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 水素を「エネルギー貯蔵媒体」と位置付けた場合、それを需要地まで運ぶ必要がある。水素の運搬手法としては、-253度に冷やして液化水素にするほか、水素分子を多く含む物質(水素キャリア)に変換する方法がある。その物質として、アンモニアやメチルシクロヘキサンなどが提案されている。

 IHIでは、水素キャリアのなかでアンモニアに着目している。将来的にアンモニアの形で海外から日本に輸入し、国内のエネルギー機器で利用することも検討している。すでにアンモニアを燃料にした燃料電池の開発を進めているほか、事業用火力発電所の燃料にアンモニアを混ぜた場合のフィージビリティスタディ(事業性調査)にも取り組む(図6)。

図6●アンモニアを水素キャリアとしたグローバルな水素チェーンのイメージ
図6●アンモニアを水素キャリアとしたグローバルな水素チェーンのイメージ
(出所:IHI)
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 新設した「そうまラボ」は、こうしたIHIの水素戦略の一翼を担うことになる。現在,ユーティリティ設備を建設中で、その後、実証設備を設置する。今年7月には開所し、実証を開始する予定になっている。

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