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IHI、相馬市で「再エネ水素」からアンモニア製造(page 4)

メガソーラー電力を自営線供給、余剰分を水素と熱に

2020/06/09 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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「電力自給率」は計画を下回る

 平常時の日々の運用としては、メガソーラーからの供給電力が急増した場合、東北電力の系統への逆潮を防止しつつ、メガソーラーへの出力抑制を最小化すること。逆にメガソーラーの発電電力が急減した場合、負荷を減らして東北電力からの受電量(購入電力)を最小化することが、事業性を高めるポイントになる。

 まず、「逆潮防止」を確実にするため、東北電力から常に一定量を受電するようにしておき、メガソーラーからの供給が増加して受電量が規定値を下回った場合、蓄電池への充電量増加と、メガソーラーの出力抑制をリアルタイムで制御するようにした。

 基本的に短周期変動と夜間の負荷は蓄電池の充放電で対応し、日中の長周期変動に対しては、電気ボイラーと水素製造の負荷変動で需給バランスを合わせていくイメージになる(図9)。

図9●電気ボイラーとアキュムレーター
図9●電気ボイラーとアキュムレーター
(出所:日経BP)
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 受電量を指標にしたリアルタイム制御に加え、地域エネルギー管理システム(CEMS)からの日照量データを使って太陽光の発電量を予測し、電気ボイラーと水電解装置の負荷制御、蓄電池の充放電制御を行うことで、メガソーラーへの出力抑制と購入電力を最小化するようにしているという(図10)。

図10●CEMSによる監視画面の一例
図10●CEMSによる監視画面の一例
(出所:日経BP)
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こうした制御がうまくいけば、メガソーラー電力による同センターの電力自給率は約70%になると計画していた。だが、稼働1年目の実績値は、約50%にとどまったという。

 IHIによると、電力自給率が計画をかなり下回った理由は、複数の要因が重なったからという。蓄電池のシーケンス制御(事前に決めた順序に従って行う制御)が最適なものになっていなかったことのほか、リチウムイオン蓄電池がフル稼働できなかったこと。そして、一部機器の稼働率が低く、メガソーラー自体の発電量が計画値を下回ったことも影響したという。同センターでは、「逆潮防止」のため、常に一定量を買電する制御にしているため、発電量が減ると、自家消費率は下がっていくことになる。

 蓄電池をフル稼働できなかったのは、同型の蓄電池に事故(火災)例が報告され、メーカーが安全を確認するまで、稼働中のほかの導入サイトでも、充放電量の制限を求めるという経緯があったという。

 IHIでは、これらの要因に対して、すでに手を打っている。蓄電池のシーケンス制御は、より最適化したものに変更した。また、「逆潮防止」のための最低買電量を、常に一定にせず、メガソーラー発電量に多寡に合わせて最適化する制御にしたという。

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