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IHI、相馬市で「再エネ水素」からアンモニア製造(page 5)

メガソーラー電力を自営線供給、余剰分を水素と熱に

2020/06/09 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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産廃処理費は半減、ペレット製造も

 今回のプロジェクトでは、余剰電力を使って蓄えた蒸気は、新規に導入した下水汚泥乾燥設備の熱源に使っている。従来、相馬市下水処理場では、処理に伴って排出される汚泥を産業廃棄物として県外の民間事業者に処理を委託してきた。汚泥乾燥設備によって、汚泥の水分を減らして5分の1に減量する(図11)。

図11●メガソーラーの余剰電力を活用した汚泥乾燥装置
図11●メガソーラーの余剰電力を活用した汚泥乾燥装置
(出所:日経BP)
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 産廃処理料金は、容量で決まるため、5分の1に減量することで、処理費用が低減される。実際、メガソーラーの余剰電力を活用した汚泥乾燥によって、稼働1年目から、産廃処理事業者に支払う料金は、半分に減っているという。汚泥乾燥は、順調に成果を上げているため、乾燥工程を自動化することで、作業も効率化した。

 さらに乾燥させた汚泥を造粒成形機でペレット化する取り組みも進めてきた。当初、汚泥の性状によって、ペレットの製造品質にムラがあったものの、実証を重ねた結果、安定したペレットが製造できているという。他の地域の下水汚泥を使った乾燥実験も進めており、地域による汚泥の性状の差もわかってきたという(図12)(図13)。

図12●乾燥汚泥によるペレット製造装置
図12●乾燥汚泥によるペレット製造装置
(出所:日経BP)
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図13●製造したペレットは肥料として利用できる
図13●製造したペレットは肥料として利用できる
(出所:日経BP)
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 すでに、製造したペレットを福島県富岡町で肥料として利用する実証試験も実施している。2019年秋に「ペレット肥料」を使ったトウモロコシを収穫し、化学肥料と同等の結果を得ているという。将来的にペレットを肥料として販売できれば、これまで処理を委託していた汚泥が、収益源に変わる可能性もある。

 「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」を舞台にしたスマートコミュニティ事業は、再エネ水素によるメタンやアンモニア製造という水素チェーン戦略に加え、再エネ余剰電力によるペレット製造など、グローバルと地域の両方の視点で成果が期待される(図14)(関連記事)。

図14●スマートコミュニティ事業のイメージ(出所:IHI)
図14●スマートコミュニティ事業のイメージ(出所:IHI)
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