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松前町「マイクログリッド」構築へ、風力と蓄電池で全町自立(page 5)

非常時に北電の配電線を使って町全域に再エネ電気を「託送」

2020/09/24 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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メガソーラーの新設も視野

 定格出力18MW、容量約130MWhの大容量蓄電池に加え、41MWの風力発電が活用できれば、風力発電の出力変動を蓄電池で補いつつ、余剰分を充電することで、さらに長期間のマイクログリッド運用が可能になる。こうしたリアルタイム制御は、平常時の風力と蓄電池の連系制御に近いものになりそうだ(図8)。

図8●「リエネ松前風力発電所」連系変電所に並ぶ蓄電池
図8●「リエネ松前風力発電所」連系変電所に並ぶ蓄電池
(出所:日経BP)
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 また、東急不動産では、将来的に松前町を「再可能エネルギー100%の町」としてさらに安定的に運用していくため、洋上も含めてさらに風力発電を増やしたり、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の新設も検討している。

 風力発電はベース電力の確保に役立つ一方、需給バランスの維持を考えれば、マイクログリッド内に太陽光発電所があれば昼間の需要増に対応しやすくなるとみている。

 経済産業省は、今年6月の電気事業法改正の中で、「配電ライセンス制」を導入した。これは、既存の配電網の一部を一般送配電事業者から譲り受け、新規事業者が配電事業を行える仕組みだ。将来的にこうした制度を活用すれば、新規参入した配電事業者が平常時から風力や太陽光の電力を松前町に供給することも可能になる。

 そうなれば、「松前町マイクログリッド」は、日常的に再エネ100%の配電サービスが提供されるエリアとして、再エネによる事業運営を目指す「RE100」企業などにとって、魅力的な立地になるかもしれない。

 一方で、こうした大型火力発電所から遠方にある過疎地域のマイクログリッド形成は、長い送電線の維持管理を考えると、社会経済的にコスト効率が高まる可能性もあり、人口減少時代における送配電網の再構築と地域活性化を両立できる可能性も秘めている。

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