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動き出した「再エネ・クロス発電所」、設備利用率30%も

太陽光の既存系統枠を活用し、風力を連系

2020/10/15 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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 今年9月4日、福島県飯舘村に国内初の「再エネ・クロス発電」が商用運転を開始した。「再エネ・クロス」とは、2つの再生可能エネルギー電源を同時に重複して活用することを意味し、今回の場合、メガソーラー(大規模太陽光発電所)敷地内に風力発電設備を併設して、1つの連系枠を使い、1つの連系点から送電する。

 発電所名は「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」。太陽光パネルの容量11.8MW、連系出力10MWのメガソーラーと、単機出力3.2MWの大型風車2基、合計出力6.4MWの風力発電設備を併設した。発電した電力は東北電力に全量売電する。

 太陽光と風力からの発電電力を22kⅤで合成して1つの連系変電所で昇圧し、東北電力の66kⅤ送電線に接続する。売電量は、太陽光と風力設備に個別のメーターがあり、それぞれの発電量に売電単価を乗じて、売電量が算出される。

「連系枠」を有効活用

 福島市から県道12号線を走り、飯舘村に入って間もなく、信号のないT字路を南に曲がるとすぐに新田川を渡る。林間の狭い山道をクルマで10分ほど登っていくと、まず下から見上げるように太陽光パネルが目に入る。さらに進むと視界が開け、斜面に並んだアレイ(パネルの設置単位)の向こうに巨大な風車2基が、そびえ立っている。

 山肌に整然と並べられた、濃紺の太陽光パネルと、空を突き刺すように立ち、ゆっくりと回る白い風車のブレード(羽根)、そして裏山の緑のコントラストが鮮やかだ(図1)。

図1●「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」
(出所:日経BP)
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 飯舘村の「再エネ・クロス発電」では、太陽光と風力を合わせた発電量が、接続契約した連系枠の10MWを超えそうな時に太陽光と風力発電の出力を統合制御し、出力を抑制することで、連系枠を超えないようにする。

 太陽光と風力を個別に連系して運用した場合、設備利用率は平均的に太陽光で約15%、風力で約25%となるが、合成出力として1つの連系枠内で運用した場合、連系変電設備の利用率は約30%まで向上し、限られた連系枠を効率的に活用できるという。

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