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八雲町に国内最大の蓄電池併設メガソーラー稼働(page 6)

岩村町長の次のターゲットはバイオガス発電

2021/04/21 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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小水力の電気でサーモンの陸上養殖

 さらに同町では、酪農の規模拡大や担い手の育成を担う、町営の「八雲町研修牧場」で250kWのバイオガス発電を導入する計画を立てている。

 「研修牧場」は、乳牛や肉牛、育成牛を合わせて1500頭を超える牛を飼育する大規模な畜産施設で、町や農協、民間企業が出資した青年舎(北海道八雲町)が運営している。今年4月に竣工し、今後、発電施設を建設し、2年後に売電を開始する予定だ(図12)。

図12●今春に稼働した町営の「八雲町研修牧場」
図12●今春に稼働した町営の「八雲町研修牧場」
(出所:日経BP)
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 さらに町内の小規模な酪農施設など3~4カ所へのバイオガス発電の設置を目指している。岩村町長は、「小規模な酪農家への発電施設の導入では、設備を町が所有し、青年舎がまとめて管理する体制にして効率的に運営する計画。酪農家には売電収入の一部を還元したり、廃液を液肥として提供したりして、酪農経営の収益基盤の安定に貢献していきたい。町は売電収入を活用し、次の再エネプラントに投資していく」と話す。

 また、小水力発電では、日本海側の熊石地域に流れる平田内川で定格出力350kWの発電プロジェクトが進んでいる。同地域は川が山から海に一気に下るため、十分な落差を確保できる小水力発電の適地が複数あるという。「小水力への投資は1カ所5億円程度かかるが、維持コストが安いので長期的には収益性が高い。まず、1カ所稼働させて、うまくいけばさらに2~3カ所は開発できそうな適地がある。小水力発電は、太陽光と違い常に一定量を発電できることが大きな魅力」(岩村町長)。

八雲町の岩村克詔町長
八雲町の岩村克詔町長
(出所:日経BP)
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 岩村町長は、将来的に地域の再エネと、農業や漁業など一次産業を組み合わせた形で運営していく構想を持っている。

 例えば、町が事業化を進めているトラウトサーモンの養殖では、まず陸上の淡水養殖施設でマス(トラウト)を育成した上で、海面養殖でさらに大きく育てて出荷する。「陸上養殖は、品質が安定する利点があるが、電気代がかかることが課題になっている。将来、この電気を価格が安い小水力で賄いたい」と岩村町長は期待する。

 実は、バイオマス発電も当初、自家消費モデルも検討したという。しかし、酪農作業による電力需要に時間的な偏りが大きく、バイオガス発電がそれに対応するのが難しいため断念したという。ただ、「将来的にさらに蓄電池が安くなるなど技術革新があれば、酪農の電力需要に対応してバイオガス発電を自家消費することも可能になるかもしれない」と、岩村町長は見ている(図13)。

図13●八雲町内の牧場。将来的にはバイオガス発電の電気を畜産施設に活用も
図13●八雲町内の牧場。将来的にはバイオガス発電の電気を畜産施設に活用も
(出所:日経BP)
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