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尼崎にアジア最大の物流施設、屋根上にメガソーラー(page 3)

ESRが建設・運営、環境配慮とレジリエンスで先進性

2021/05/19 12:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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石油火力からメガソーラーに

 尼崎DCのある事業用地は、2001年まで関西電力の石油火力発電所が稼働していたが、コスト高などで閉鎖され、跡地にパナソニックがプラズマディスプレイ工場を建設した。しかし、こちらも事業的に厳しくなり2014年に閉鎖された。その後、関西圏内でのアクセスの良さに着目したESRが、2017年に物流施設の計画を発表し、2018年1月に着工した。

 「火力発電所からメガソーラー」、「重工業から電子デバイス、そして地の利を生かした物流施設」という変遷は、経済社会構造の変化の一端を物語るようだ。そして、産業都市として公害や大震災を克服してきた尼崎市のありようの変化とも符合している。

 環境への配慮と災害時のレジリエンス(回復力)の重視は、ESRの考え方とも一致している。同社は、設計にあたって「HUMAN CENTRIC DESIGN.(⼈を中⼼に考えたデザイン)」を基本理念に掲げており、加えて、再生可能エネルギーの利用や省エネの徹底、BCP(事業継続計画)対策に力を入れている(図4)。

図4●保育室のスペース
図4●保育室のスペース
(出所:ESR)
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 ESRは、中国・韓国などで物流施設を開発してきたイーシャンと、アジア・日本などで物流施設を展開するレッドウッド・グループが2016年に経営統合し、米投資会社のウォーバーグ・ピンカスの参画により発足した。グループ本社は香港で、アジア大都市圏の物流不動産に特化した開発・所有・運営を手掛けている。日本では首都圏のほか、中京圏、関西圏を主体に建設を進めている。2019年11⽉に⾹港証券取引所に上場した。

 尼崎DCは、環境面では、メガソーラーのほか、省エネ型照明、ビオトープなどを導入している。全館LED照明、トイレ・共用部すべてに人感センサーを設置し不使用時に自動で消灯する。また、事務所には人検知センサーを設置し人の在・不在を検知しゾーン単位で明るさを自動制御してエネルギー消費を最小化する照明システムを導入した。これは大成建設と東光高岳が共同開発した「T-Zone Saver」を物流施設として初めて採用したものという(図5)。

図5●事務所用スペース。人検知センサーでゾーン単位ごとに明るさを自動制御
図5●事務所用スペース。人検知センサーでゾーン単位ごとに明るさを自動制御
(出所:日経BP)
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