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伊万里の山間メガソーラー、オンライン制御に転換して抑制量を低減(page 5)

九電の再エネ管理システムに対応して出力制御を自動化

2021/06/30 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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遠隔からPCSを停止・稼働

 旧ルール事業者である「伊万里市南波多MS発電所」は、手動(オフライン)による出力制御になる。制御日の前日に九電から出力制御指令が出され、発電事業者の担当者が翌朝、サイトに行って午前8時に手動でパワーコンディショナー(PCS)を操作して稼働を停止させ、午後4時にまたサイトを訪れて再稼働するという操作が必要になる。

 ただ、こうした作業は、O&M担当者がその都度、サイトを往復するなど負担が大きくなるため、同発電所では、九州電気保安協会による太陽光発電遠隔操作Webサービスを採用している(図7)。

図7●太陽光発電遠隔操作Webサービスの通信ユニット
図7●太陽光発電遠隔操作Webサービスの通信ユニット
(出所:日経BP)
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 これは、PCSの運用をパソコンやスマートフォンから操作できるシステムで、九電からの出力制御指令を受け、O&M担当者がサイトに行かずにリモートでPCSの運転を停止できる。加えて、日常的には発電電力量の監視やPCSの警報監視もできる(図8)。

図8●太陽光発電遠隔操作Webサービスのイメージ
図8●太陽光発電遠隔操作Webサービスのイメージ
(出所:九州電気保安協会)
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 「伊万里市南波多MS発電所」では、O&Mサービスを担うウエストO&Mの担当者が、このリモート監視・制御システムを活用することで、オフィスのある広島市にいながら、伊万里サイトの稼働停止と再稼働を行ってきた。

 加えて、今年3月25日、同発電所では、九電によるオンライン制御に移行するためのPCSの工事を実施した。オンライン制御に移行しても、旧ルール事業者であることには変わらないため、当面の間、指定ルール事業者に比べて制御日数は多くなる。ただ、九電によるオンライン制御に移行すると時間単位の制御になるため、1回の抑制時間が8時間よりも短い時間で済むことが多く、制御量自体は大幅に減る可能性が高い。

 九電の試算では、2021年度ではオフラインの旧ルール事業者の制御率は12.1%なのに対し、オンライン化した旧ルール事業者は5.4%に半減するという。九電では、「仮に売電単価40円/kWh・1MWのオフライン・旧ルール事業者が、オンライン制御に切り替えた場合、年間で300万円程度の売電収入の増加が見込め、一般的なオンライン化費用である約500万円は2年で元が取れる」としている。

 インテグリティ・パートナーズが、伊万里市のサイトでオンライン制御を導入したのは、こうした九電の予測値を参考に、経済性の観点からPCSの工事に踏み切った(図9)。

図9●オンライン制御に移行するためのPCS工事の様子
図9●オンライン制御に移行するためのPCS工事の様子
(出所:インテグリティ・パートナーズ)
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